相続の生前対策には、財産管理対策、遺産分割対策、相続税対策があります。
単に資産の承継だけを目的にするのであれば、「生前贈与」が考えられます。
贈与は、財産をあげる人の贈与の申し込みに対してもらう人の受け取るという
承諾があって契約が成立します。
生前贈与は、元気なときに財産をあげたい人に承継させることができるため、
認知症などのリスクを考えて早めに子供に財産を承継させたい場合などに対応
できる制度です。しかし、税制面を考慮すると贈与税や不動産取得税など高額
になることが多く、その場合贈与での資産承継は難しくなります。
二つ目は「遺言」ですが、遺言は、贈与と異なり契約ではなく単独行為です。
法律で定められた方式で作成し、遺言者の死亡により効果が発生します。
遺言は、自分の亡き後の資産の承継先を生前に決めておくことができるため、
相続人間の遺産分割協議が不要になります。
但し、遺言は死亡により効力が発生するため、本人が認知症になってしまうと
遺言があっても財産の管理(収益不動産の管理や売却、定期預金の解約など)
ができなくなりますし、生前であれば遺言の撤回や書換えができるため、遺言
作成後の不動産売却や預貯金の払戻などの処分行為が遺言と抵触した場合には、
作成済の遺言を抵触した範囲で撤回したものとみなされます。これは、遺言が
遺言者の死亡によって効力が発生するため、生前になされた行為のほうが当然
に優先されるからです。
三つ目は、・・・次回へ