債務整理の方針を決める

債権調査の結果を踏まえ、依頼者と協議のうえ債務整理の方針を決定します。

方針を決定する際の一般的な基準は、債務者が分割により支払を継続し、債務を完済できる

見込みがあれば「任意整理」または「特定調停」、分割の支払でも支払不能となるおそれの

ある場合には「個人民事再生」、支払不能であれば「破産」です。

この場合の「支払不能」とは、判例によれば、債務者が一般に金銭の支払をすることができ

ない客観的な状態をいい、弁済力の有無は財産・信用・労務の三つを総合的に判断する必要

があり、さらに一時的な延滞ではなく債務を弁済できない状態が継続的である状態をさす、

としています。つまり、財産が無くとも信用や労務によって支払可能な場合は支払不能とは

言えませんし、反対に財産があっても換価が困難で信用や労務による弁済も不可能の場合は

支払不能となりえます。

支払不能か否かは、負債額による基準はなく、債務者の収入、家計状況等により個別に判断

することになります。そのため、生活保護を受けている場合や収入が低いなど債務者の事情

により負債総額が100万円以下であっても破産が認められることがあります。

また、債権調査の結果、破産又は個人民事再生が妥当する場合であっても債務者の多くは、

できれば返済の努力をしたいと希望します。

しかし、債務者は、多くの場合、家計状況等を精査すると返済する余裕はなく、借金の返済

が無くなって辛うじて収入内での生活が可能な状況になっています。

借金が増え、毎月の家計収支がマイナスの状態は債務整理で改善できるかもしれません。

 

信用情報について

信用情報機関は、貸付に関する情報やクレジットカードを利用した取引の内容などの

個人情報を収集し、加盟している貸金業者や信販会社などの与信判断等の参考となる

情報を加盟各社に提供している機関です。

現在、信用情報機関は、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・

シー、全国銀行個人情報センターがあります。

これらの信用情報機関が収集し、管理している情報には、各情報機関が独自に収集した

情報、加盟する貸金業者等からの情報、本人からの申告に基づく情報、貸金業法に規定

されている情報等がありますが、延滞情報や破産などの事故情報が登録されることを

俗に「ブラックになる」あるいは「ブラックリストに載る」という言い方をしますが、

事故情報のみを収集したリストというものは存在しません。

情報の登録期間は、登録事項や情報機関によって違いがありますが、5年が一つの

目安になります。

日本信用情報機構(JICC)では、債務整理や破産申立等の登録期間を契約終了後5年

以内としていますが全国銀行個人信用情報センターでは、官報公告された破産・民事

再生手続きについて開始決定等の日から10年を超えない期間としていますので借入先

の加盟する信用情報機関により違いがあります。

通常、事故情報が登録されている間は、新たにクレジットカードを作ったり融資を

受けることが困難になります。なお、破産者等を対象に融資の勧誘をする悪質な業者

が存在しますので注意が必要です。

 

 

債務整理の相談はお早めに

債務整理には、任意整理、民事再生、破産、特定調停、過払い金返還請求等の手続きがあり

ますが、これらの方法の中から、相談者に最も適切な方針を選択し、手続きを履行していく

必要があります。

債務整理の相談では、相談者の負債状況、収入の見込み、資産状況、今後の希望などを詳し

く伺ったうえで、どのような手続きが可能か、その手続きを履行する場合のメリットとデメ

リットなどをアドバイスします。

相談の際は、借入に関する契約書や取引明細、貸金業者等から受け取ったカードや書類

一切、給与明細や不動産登記事項証明書など資産と負債状況の概要がわかる書類を用意

いただくと面談がスムーズです。

面談の際は、多額の債務を負うことになった経緯、収入と財産の状況、家計状況、援助者の

有無などを確認させていただきますのである程度債務整理の方針を決められますが、最終的

には、受任後、債権調査を経てから決定します。

なお、受任により債権者からの催促の連絡等は無くなりますので、仕事に集中できるように

なり、家計状況の改善など借金問題解決に安心して取り組めるようになります。

借金問題は、一人で悩まずお早めにご相談ください。