借金からの救済法

支払困難な状況にある人が借金を整理するための方法には、破産、個人再生、任意整理

、特定調停の手続が考えられます。

支払困難な状況にも無収入やそれに近い状況の場合、継続収入があり一定額なら返済が

可能な状況の場合があります。

無収入や一定額の返済が可能な場合であっても用意できる返済金に比べ借金額が大きく

支払不能とみなされれば、破産を検討することになるでしょう。

個人再生は、返済総額を減額できる手続ですが、破産と同様に裁判所が関与する手続の

ため、申立て書類の作成等の準備が必要です。そして、申立後は、法律に従った処理が

なされます。

任意整理や特定調停は、各債権者との個別和解のため、破産や個人再生と違い、比較的

簡便で弾力的な処理をすることができます。

ただし、個別和解で無利息にはできますが、個人再生のように返済総額の減額を当然に

要求できるわけではありません。

債務整理は、どの手続を選択することが本人にとって最も有益なものとなるのかという

観点から相談者一人一人の具体的な事情を検討する必要があります。

まずは、一人で悩まず、お気軽にお問い合わせください。

 

死後事務委任契約とは

死後事務委任契約は、委任者が受任者に対して、自己の死後の事務を生前に依頼する契約

です。

身近に頼れる親族がいないおひとり様や親族と疎遠である人は、自分の死後のことに不安

を感じることがあります。

このような不安を解消する方法として死後事務委任契約の利用が考えられます。

死後事務委任契約は、委任者の死後に執行されるため、その意思を明らかにするために、

必ず書面によるべきでしょう。

当事務所では、原則として公正証書による方法をとっています。公正証書には、委任者

本人の意思が反映されていることが証明されますし、公証人の関与により適法な契約で

あるという信頼も得られます。

委任事務の内容は、委任者が亡くなった後の葬儀・火葬・埋葬、埋葬後のお墓の管理と

永代供養、親族や友人等への連絡、施設や病院との精算、住居の明渡しなどです。

これらの死後事務の結果については、委任者が直接実感することはできませんが、契約

していることによって、終末期に感じる不安などの感情が和らぎ、人生の最後まで自立

した生活を送ることができるようになります。

そして、人生の残りの時間を、自分らしく過ごしていただけるよう、孤独や不安と向き

合う委任者に寄り添い、精神的な支えとなることも受任者の大切な役割と考えます。

 

おひとりさまの死後事務委任

遺言書や成年後見制度は、生前対策として活用することで存命中のさまざまな不安

に対処することができます。

しかし、死後の手続きは親族が行うことを前提に法律が作られているため、死後の

事務を親族以外の人に依頼する場合には死後事務委任契約を結んでおくべきです。

遺言書は、遺産の処分など法律で定められた事項について法的な拘束力を持ちます

が、法定事項以外のことについては、例えば、遺言書に葬儀や埋葬について故人の

意思が示されていても親族の意向が強く働くことになれば、遺言通りに進めること

が難しくなります。

あなたが、おひとりさまであれば、死後の事務まで済ませておくことはかなり難し

いのではないでしょうか。

葬儀のことなど遺言書だけでは不十分な故人の意思を実現する方法が死後事務委任

の活用です。

あなたが亡くなったあと、葬儀の手配や埋葬、死亡届等手続きを済ませる人が必要

ですし、自宅の遺品整理や携帯電話の解約、公共料金の支払い停止などの手続きも

必要になります。

死後事務の手続きには、他にも病院などの医療施設の退院・退所手続きと精算事務

、永代供養に関する事務、自宅の賃借料の支払い・解約、健康保険、納税等の手続

、クレジットカードの解約などやるべきことがたくさんあります。

これらは、死後事務委任の活用で手続きは可能です。

なお、死後事務委任契約は、専門家に委任した場合、報酬とは別に手続等にかかる

費用も委任者の自己負担になります。例えば、葬儀の手配を委任する場合、受任者

への報酬とは別に葬儀費用を含めて用意しておく必要があります。

そのため、元気な今のうちに、死後の手間を減らすために不用品の処分や預金口座

を一つか二つにまとめたり、クレジットカードを1枚に絞るなどご自身の死後に備

えるための行動をできることから始めることをお勧めします。

 

 

 

成年後見制度とは

現在、65歳以上のおよそ16%、80代後半ではおよそ40%が認知症であるといわれ

ています。

認知症を患い判断能力が低下してしまうと契約などの法律行為ができなくなりますので、

法律上、銀行から預金を引き出したり施設に入居するための契約を締結することができ

なくなります。

そこで、判断能力の低下した人を保護するための制度が成年後見制度です。

この成年後見制度は、法定後見と任意後見の大きく二つに分けることができます。

現在、すでにご本人の判断能力が低下してしまっているという状態にあるとき、本人、

四親等内の親族などが家庭裁判所に申し立て、後見人等を選定してもらうのが法定

後見です。

これに対し、任意後見は、将来、認知症などの理由で判断能力が失われてしまったときに

備えて、あらかじめ、自分の財産管理や身上監護を担ってくれる人と契約しておく制度

です。判断能力が衰える前に後見人を選んで契約しておくという点が法定後見との違い

となります。

この後見人を自由に選べる点が任意後見のメリットの一つです。

任意後見契約書は、公正証書により作成することが法律上義務付けられています。

また、効力の発行は、本人の判断能力が低下した段階で、本人や四親等内の親族又は任意

後見受任者の請求によって、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人は、任意後見人が契約の内容に従って財産管理等を行っているかを監督する

役割を担います。もし任意後見人に不正があった場合は、家庭裁判所に任意後見人の解任を

申し立てることができます。

 

特に頼れる親族がいない人の場合、お元気なうちに信頼できる人と任意後見契約を結んで

おけば認知症などで判断能力が衰えてしまっても任意後見人が暮らしを支えるお手伝いが

できるので安心です。

事業承継と遺留分

遺留分は、兄弟姉妹以外の法定相続人について認められている最低限取得できる相続分

を言います。

改正前の民法は、遺言によって特定の者だけに有利な内容の遺産承継が行われた場合等

に他の法定相続人は自身の遺留分侵害を理由に、遺留分減殺請求権を行使して最低限の

相続分を取得することができます。

改正前は、相続人が遺留分減殺請求権を行使すると対象物の返還請求が可能になるため、

対象物の共有状態が生じる結果、例えば、遺産の多くが被相続人の経営する会社の株式

で占められている場合には事業承継のために後継者に取得させた株式が遺留分減殺請求

により共有になり分散してしまう結果となり、事業承継の問題点とされていました。

改正により、遺留分減殺請求権は金銭債権に一本化され、名称も遺留分侵害額請求権に

改められました。これにより、遺留分を侵害された法定相続人は、遺留分侵害額に相当

する金銭の請求をすることができるようになりましたし、金銭による負担はあるものの

その目的財産自体については、遺産を承継した受遺者等が維持できるため、特定の者に

承継させたい被相続人の意思を尊重できるようになりました。

会社の経営者は、会社を自身の子(例えば、長男)に跡を継がせるために、会社の株式

や事業用資産を長男に承継させたいが他にも次男と長女がいる場合に生前贈与や遺言を

利用していました。しかし、その結果、次男や長女の遺留分を侵害した場合、他の兄弟

姉妹は長男に対して遺留分侵害額請求権を行使することが可能となります。

後継者は、遺留分侵害額請求権が行使されると承継した株式や事業用資産の資産評価を

踏まえて金銭で支払いをしなければなりません。そのため、事業承継における後継者は

、遺留分侵害額請求権を行使された場合を想定し金銭の支払いができるよう備える必要

があります。

経営者は、誰にどのような財産を承継させて事業を存続させていくかについては自身が

元気なうちに対策を考え円滑な事業承継を行えるよう早い時期から専門家を交えて検討

を加えることが大切です。

 

遺言書を書く前に

遺言書は、自分の死後、財産を誰に何を渡すのか明らかにするための方法です。

そのため、まずは、自身の財産について目録を作ってみてはいかがでしょうか。

財産には、預貯金や不動産、有価証券、貴金属などプラスの財産が思い当たりますが、住宅

ローンなどの借入金、医療費や税金の未払い金などマイナスの財産を忘れてはなりません。

相続するのであれば、プラスの財産は相続するがマイナスの財産は相続しないということは

できません。

但し、プラスの財産の価額よりもマイナスの財産の価額が大きい場合には、相続放棄により

すべての財産を相続しないという選択なら可能です。

この相続放棄ができる期間は、「相続が開始したことを知ったときから3か月以内」とされ

ています。

亡くなった人に借金など無いと思いプラスの財産を相続後に多額の借金が判明したケースも

あります。

亡くなった後になって相続人たちに混乱を招かないよう、プラスの財産とマイナスの財産が

それぞれどのくらいあるのか明らかにしておくことが肝要です。

 

なお、相続財産と間違いやすいものに死亡保険金があります。亡くなった人が自分で保険料

を支払い死亡保険金を相続人が受け取ってもそれは民法上の相続の対象になりません。

そのため、死亡保険金の受取人に相続人の誰かが指定されている場合は、原則として、全額

をその人が受け取ることになるうえに遺留分侵害額請求の対象になりません。

但し、税法上は、非課税分を超える分について、相続税の対象になることがあります。

 

相続と空き家問題

近年、居住世帯のない空き家の増加が社会問題になっています。

不動産を相続したものの、空き家のまま放置しているケースが多いようです。

相続した空き家を放置したままにしていると、固定資産税が大幅に上昇したり、行政指導の

対象になる場合があります。倒壊の恐れがあったり、雑草が生い茂ったままの状態であれば

近所の住民から苦情を受けて大きなトラブルに発展するかもしれません。

また、「空き家対策特別措置法」に基づき、市区町村役場が空き家の現状について確認作業

を行ったの結果、問題のある空き家(特定空き家)に指定されると固定資産税が通常の金額

の最大6倍になる可能性があります。

さらに、防犯面や衛生面、景観等で特定空き家に指定された場合は、市町村が立ち入り調査

し、指導・勧告・命令・行政代執行の措置がとられます。

 

なお、空き家を相続してから3年目の年末までに、被相続人が居住していた建物(敷地含)

を相続人が譲渡した場合には、譲渡益から3000万円を控除できます。

この特別控除の適用を受けるための要件は、

①相続直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったこと。

但し、要介護認定を受けて老人ホームへの入所など一定の要件に該当する非居住の場合は

被相続人居住用家屋に該当します。

②相続後に事業用、賃貸用、居住用に使用していないこと

③昭和56年5月31日以前に建築されたもので、区分所有建物でないこと

④売却価格が1億円以下であること

⑤建物を新耐震基準を満たす改修工事後または取壊し後の売却であること

⑥相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること

⑦特例の適用期限の2016年4月1日から2023年12月31日までに譲渡すること

等です。

 

 

債務整理の方針を決める

債権調査の結果を踏まえ、依頼者と協議のうえ債務整理の方針を決定します。

方針を決定する際の一般的な基準は、債務者が分割により支払を継続し、債務を完済できる

見込みがあれば「任意整理」または「特定調停」、分割の支払でも支払不能となるおそれの

ある場合には「個人民事再生」、支払不能であれば「破産」です。

この場合の「支払不能」とは、判例によれば、債務者が一般に金銭の支払をすることができ

ない客観的な状態をいい、弁済力の有無は財産・信用・労務の三つを総合的に判断する必要

があり、さらに一時的な延滞ではなく債務を弁済できない状態が継続的である状態をさす、

としています。つまり、財産が無くとも信用や労務によって支払可能な場合は支払不能とは

言えませんし、反対に財産があっても換価が困難で信用や労務による弁済も不可能の場合は

支払不能となりえます。

支払不能か否かは、負債額による基準はなく、債務者の収入、家計状況等により個別に判断

することになります。そのため、生活保護を受けている場合や収入が低いなど債務者の事情

により負債総額が100万円以下であっても破産が認められることがあります。

また、債権調査の結果、破産又は個人民事再生が妥当する場合であっても債務者の多くは、

できれば返済の努力をしたいと希望します。

しかし、債務者は、多くの場合、家計状況等を精査すると返済する余裕はなく、借金の返済

が無くなって辛うじて収入内での生活が可能な状況になっています。

借金が増え、毎月の家計収支がマイナスの状態は債務整理で改善できるかもしれません。

 

信用情報について

信用情報機関は、貸付に関する情報やクレジットカードを利用した取引の内容などの

個人情報を収集し、加盟している貸金業者や信販会社などの与信判断等の参考となる

情報を加盟各社に提供している機関です。

現在、信用情報機関は、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・

シー、全国銀行個人情報センターがあります。

これらの信用情報機関が収集し、管理している情報には、各情報機関が独自に収集した

情報、加盟する貸金業者等からの情報、本人からの申告に基づく情報、貸金業法に規定

されている情報等がありますが、延滞情報や破産などの事故情報が登録されることを

俗に「ブラックになる」あるいは「ブラックリストに載る」という言い方をしますが、

事故情報のみを収集したリストというものは存在しません。

情報の登録期間は、登録事項や情報機関によって違いがありますが、5年が一つの

目安になります。

日本信用情報機構(JICC)では、債務整理や破産申立等の登録期間を契約終了後5年

以内としていますが全国銀行個人信用情報センターでは、官報公告された破産・民事

再生手続きについて開始決定等の日から10年を超えない期間としていますので借入先

の加盟する信用情報機関により違いがあります。

通常、事故情報が登録されている間は、新たにクレジットカードを作ったり融資を

受けることが困難になります。なお、破産者等を対象に融資の勧誘をする悪質な業者

が存在しますので注意が必要です。

 

 

債務整理の相談はお早めに

債務整理には、任意整理、民事再生、破産、特定調停、過払い金返還請求等の手続きがあり

ますが、これらの方法の中から、相談者に最も適切な方針を選択し、手続きを履行していく

必要があります。

債務整理の相談では、相談者の負債状況、収入の見込み、資産状況、今後の希望などを詳し

く伺ったうえで、どのような手続きが可能か、その手続きを履行する場合のメリットとデメ

リットなどをアドバイスします。

相談の際は、借入に関する契約書や取引明細、貸金業者等から受け取ったカードや書類

一切、給与明細や不動産登記事項証明書など資産と負債状況の概要がわかる書類を用意

いただくと面談がスムーズです。

面談の際は、多額の債務を負うことになった経緯、収入と財産の状況、家計状況、援助者の

有無などを確認させていただきますのである程度債務整理の方針を決められますが、最終的

には、受任後、債権調査を経てから決定します。

なお、受任により債権者からの催促の連絡等は無くなりますので、仕事に集中できるように

なり、家計状況の改善など借金問題解決に安心して取り組めるようになります。

借金問題は、一人で悩まずお早めにご相談ください。