相続人間のトラブル

法定相続人は民法で決まっています。特に、夫婦に子供がいない場合は、

親や兄弟姉妹が相続人となるため、利害が衝突する可能性が高まります。

例えば、夫が亡くなり妻と夫の兄弟姉妹が相続人の場合、民法の規定では

は妻4分の3、夫の兄弟姉妹は4分の1が相続分となります。

そのため、夫が遺言を残さず相続財産が現に妻が居住している不動産以外

にない場合には、兄弟姉妹に対し、相続分に相当する現金を渡すなど遺産

分割方法を協議する必要があります。

この場合に夫が生前「全ての財産は妻に相続させる」旨の遺言書を残せば

兄弟姉妹に遺留分が無いため、争うことなく妻が全財産を相続できること

になります。遺言書は、相続人間のトラブル防止に役立ちます。

 

相続されない債務

相続は、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するものですから、

被相続人の債務も相続の対象になるのが原則です。

例外として、扶養義務や婚姻費用分担義務などの身分法上の義務があります。

民法の規定する使用貸借や委任などは、当事者の死亡を契約関係の終了事由

としています。

また、判例上、相続性が否定されたものとして、包括的根保証契約に基づく

保証人の地位と身元保証契約に基づく身元保証人の地位がありますが、これ

らは特段の事情のない限り相続されないとされています。

但し、上記の契約に基づく債務であっても、被相続人の死亡時にすでに発生

している債務については相続の対象になります。

 

 

在日外国人が日本で遺言をする場合

在日外国人が日本で遺言をする場合には、どの国の法律が適用されるでしょうか。

「遺言の方式の準拠法に関する法律」によれば、遺言をする人が

①遺言をした場所のある国の法

②遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法

③遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法

④遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法

⑤不動産に関する遺言については、当該不動産の所在地の法

以上のいずれかの国の法律で認められている方式に従って遺言をすれば、日本

では有効な遺言となりますので、例えば、在日外国人が日本法の方式で遺言を

すれば、日本では有効な遺言となります。