当事務所の年末年始の予定
12月29日(火)から1月5日までが年末年始休暇となります。
1月6日9時30分から通常通り業務を開始いたします。
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今回は、家族信託(又は民事信託)です。
繰り返しになりますが、これからの相続の生前対策は、財産管理対策、遺産分割対策、
相続税対策の検討が必要となると思われます。
家族信託は、財産管理対策と遺産分割対策の新しい手法です。資産を持っている人が
委託者となり、自分の老後の生活や介護などに必要なお金や収益不動産の管理などを
信頼できる家族を受託者として託し、受益者(=委託者)のためにそれら資産の管理
や処分を任せる仕組みです。
成年後見制度は、判断能力の喪失などで自分で法律行為ができなくなった本人を保護
することが目的のため、家庭裁判所の監督の下で行われますが、家族信託では、本人
の元気な時に本人の意思で、信頼する家族等に財産を託すため家庭裁判所を介在する
ことなく財産管理を行うことができます。
家族信託は、委託者の所有する財産を信頼する家族を受託者として託し、委託者自身
を受益者として財産管理をしてもらいます。信託により、財産の名義は、委託者から
受託者に移りますが、税法上は名義を預けているだけで実質的な所有者に変更はない
ため、贈与税や不動産取得税などの税金は発生しません。但し、不動産の所有権移転、
信託等の登記手続きの際の登録免許税は発生します。
問題となるのは、何も対策をせずに資産を所有する人が認知症などで判断能力を喪失
すると財産が凍結されることです。
例えば、収益不動産の名義が本人のまま認知症などにより判断能力を喪失すると新規
の賃貸借契約や建物修繕などができなくなります。本人の元気なうちに特定の財産を
家族信託により信頼できる家族に信託財産として託すことで財産凍結のリスクを回避
することができます。
前回の続きです。
三つ目は、生命保険の活用です。
相続の生前対策として生命保険を活用する場合、一般的には、契約者と被保険者を親、
受取人を相続人とする一時払い終身保険を活用します。
生命保険は、契約により受取人指定がされているため、遺言と同様に遺産分割協議を
経ることなく特定の人に財産を承継させることができます。しかも、遺言と異なり、
判例は、生命保険金は受取人固有の財産であり、遺産分割、遺留分侵害額請求の対象
とならないとしています。
また、生命保険には相続税の非課税枠があるため、遺産分割や相続税等の納税対策で
活用することができます。ちなみに、非課税枠は500万円×相続人の数ですので、
相続人2人で生命保険金1000万円なら非課税となります。
ただし、生命保険は、対象財産が金銭のみとなるため、金銭以外の不動産などを対象
とするためには、遺言や家族信託などの制度と併用する必要があります。
次に、四つ目は、成年後見制度です。
成年後見制度は、認知症や知的障害などにより、本人の判断能力が既に低下している
場合に利用する法定後見制度と本人が元気なときに、将来の判断能力の低下に備えて
予め信頼できる人に後見人となることを頼んでおく任意後見制度があります。
どちらの制度も家庭裁判所の監督のもと、本人の生活支援等のために財産管理を行う
制度です。そのため、本人保護が優先される結果、相続対策としての生前贈与や資産
の組換え、生命保険の解約などは原則としてできなくなります。
また、法定後見人には、資産家ほど家族以外の第三者(弁護士や司法書士等の専門職)
が選任されるケースが多く、その場合には財産管理を家族だけで行うことができず、
第三者が本人の通帳などを管理することになります。
そして、成年後見人の報酬は、裁判所が決めますが原則として本人の能力が回復するか
亡くなるまで続くため、月額3万円から6万円が目安となりますが、累計すると高額な
報酬がかかります。
なお、任意後見制度を活用した場合は、本人の信頼できる人に任せることができますが
この場合後見業務をチェックする第三者の任意後見監督人が就任するため、成年後見人
と同様に任意後見監督人の報酬は裁判所が決定します。
以上のように本人の認知症などにより、成年後見制度を利用することになると、本人が
判断能力を回復するか亡くなるまで家族であっても財産の管理や処分が自由にできなく
なります。
五つ目は、家族信託ですが、これは次回にしたいと思います。
相続の生前対策には、財産管理対策、遺産分割対策、相続税対策があります。
単に資産の承継だけを目的にするのであれば、「生前贈与」が考えられます。
贈与は、財産をあげる人の贈与の申し込みに対してもらう人の受け取るという
承諾があって契約が成立します。
生前贈与は、元気なときに財産をあげたい人に承継させることができるため、
認知症などのリスクを考えて早めに子供に財産を承継させたい場合などに対応
できる制度です。しかし、税制面を考慮すると贈与税や不動産取得税など高額
になることが多く、その場合贈与での資産承継は難しくなります。
二つ目は「遺言」ですが、遺言は、贈与と異なり契約ではなく単独行為です。
法律で定められた方式で作成し、遺言者の死亡により効果が発生します。
遺言は、自分の亡き後の資産の承継先を生前に決めておくことができるため、
相続人間の遺産分割協議が不要になります。
但し、遺言は死亡により効力が発生するため、本人が認知症になってしまうと
遺言があっても財産の管理(収益不動産の管理や売却、定期預金の解約など)
ができなくなりますし、生前であれば遺言の撤回や書換えができるため、遺言
作成後の不動産売却や預貯金の払戻などの処分行為が遺言と抵触した場合には、
作成済の遺言を抵触した範囲で撤回したものとみなされます。これは、遺言が
遺言者の死亡によって効力が発生するため、生前になされた行為のほうが当然
に優先されるからです。
三つ目は、・・・次回へ
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)には、遺留分
が円滑な事業承継を妨げることがないよう「遺留分に関する民法の特例」が規定されて
います。
これは、経営者が亡くなった際に自社株式が遺産の多くを占める場合は、贈与や相続で
後継者が自社株式を取得すると、他の相続人から遺留分侵害請求される可能性があります。
そのため、経営承継円滑化法は、中小企業の後継者が自社株式の議決権の過半数を先代の
経営者から遺留分の制約を受けずに承継できるよう一定の要件を満たす場合に特例を認め
ました。
特例には、自社株式等を遺留分の対象から外す除外合意と相続時の自社株式の評価額を
合意時点のものに固定する固定同意があります。
除外合意は、先代経営者の生前に後継者が経済産業大臣の確認を受け、遺留分の権利者
全員との合意内容について家庭裁判所の許可を受けることで、一定の財産を遺留分算定
の基礎となる財産から除外できる制度です。
これによって事業継続に不可欠な自社株式等に対する遺留分侵害請求を受けることを未然
に防止し、株式の分散を避けることができます。
固定合意は、経済産業大臣の確認を受けた後継者と遺留分権利者全員との合意内容について
家庭裁判所の許可を受けることで遺留分の算定に際して、生前贈与した株式の価値を
あらかじめ合意時の評価額で固定できる制度です。
この制度が無い場合は、先代の経営者から後継者に対して自社株式を贈与した後、株式の
価値が後継者の貢献によって上昇すると遺留分の算定は相続の開始時点で評価されるため、
株式価値が後継者の努力によって形成されたにもかかわらず、かえって遺留分侵害請求を
受ける可能性が高まってしまい後継者の経営意欲を失わせることになりかねません。
この固定合意の利用により、相続時に自社株式の価値が上昇していても上昇分は相続税の
対象になりません。
これらの特例を受けるためには、現経営者の存命中に遺留分を有する推定相続人全員が
合意することが必要です。
なお、除外合意は、会社経営者だけでなく、合意時点で3年以上継続して事業を行っている
個人事業主で後継者に事業用資産すべてを贈与した場合にも利用することができます。
保険契約者が亡くなった場合、亡くなった人が自分を被保険者として契約した生命保険金
請求権が相続財産に含まれるかについては、保険契約のなかで保険金受取人をどのように
定めているかによって決まります。
保険金受取人を特定の相続人と定めている場合は、その受取人だけが保険金請求権を取得
します。従って、この場合は、遺産分割の対象になりません。
保険金受取人を指定しなかった場合は、保険約款に被保険者の相続人に支払う旨定めが
ある場合に相続人が法定相続分の割合に応じて取得することになります。
この場合も遺産分割の対象になりません。
次に、保険契約者が被保険者及び受取人を兼ねる場合ですが、満期保険金請求権は、
保険契約の効力発生と同時に保険契約者の固有財産となるため、その後保険契約者が
死亡すれば相続財産となります。
これが保険事故による保険金請求権の場合は、保険契約者の意思を合理的に解釈する
と、相続人を保険金受取人と指定する黙示の意思表示があったと解釈することが相当
と言えますのでこの場合は、保険金請求権は相続人固有の財産となります。
相続財産の調査段階で生命保険契約の存在が明らかとなった場合は、まず保険契約者、
被保険者、保険金受取人がそれぞれ誰であるかをよく確認し、相続財産となるかどうか
を判断しなければなりません。
相続は、時間の経過とともに内容が複雑になりがちです。不明な点がある場合には、
保険会社に照会する、或いは法律相談を利用する等して遺産分割が必要かどうかに
ついて早めに相続人間で協議することをお勧めします。
遺言書は、ご自身が亡くなった時の財産について、誰に何をどのように与えるのかを
あらかじめ決めておくために作成します。
遺言した人が亡くなると、その方の財産は相続人に引き継がれることになりますが、
財産を引き継ぐために必要な手続きは、遺言書があると簡単になります。
また、亡くなった人が生前どのような財産を持っていたのか相続人が把握していない
場合があります。そのような場合、相続人は、亡くなった人の遺産を調査しなければ
なりません。家の引き出しなどに保管してあった通帳や郵便物などを頼りに、多くの
時間と労力を使って遺産の調査を行うことになるかもしれません。
しかし、亡くなった人が遺言書に財産を詳細に記載していれば、相続人は遺産の調査
を行う必要がなくなります。
遺言書は、財産の分け方だけでなく、相続人への想いを書くことができます。内容も
財産の分け方の理由、家族への感謝や励ましなど自由です。
遺言書は、遺言をする人が物事を理解できる状態で書かなければ効力がありません。
認知症などで物事を理解することができなくなってから作成した遺言書は無効になる
可能性があります。
また、今年から運用が始まった遺言書保管制度を利用するためには、本人が法務局へ
行かなくてはなりません。
遺言書は、何度でも書き直しができます。一度作成しても事情が変われば作成し直す
ことができます。
元気な今のうちに、大切なご家族のために、遺言書をのこしましょう。
家族信託は、本人が元気なうちに自分の財産管理や処分を信頼できる家族に任せる仕組み
です。
信託は、財産を託す委託者と託される受託者との間で信託契約を結び、例えば委託者(父)
から受託者(長男)に財産の所有権を移転し、以後は長男が法律上の処分権限を有する仕組
みです。
父が認知症などで自宅から高齢者施設に入居した場合は、長男が誰も住まなくなった自宅を
売却して生活費や入居費用に充てる。
父の会社の事業承継にあたって、自社株を後継者である長男に引き継がせるのに支障がある
場合に、父から長男に自社株を信託することで議決権の行使を長男の判断で行えるようにし
て会社の運営が滞ることがないようにする。
障害のある子どもがいるケースでは、信託で親の死後に子供の生活が守られるような仕組み
を実現する。
家族信託は、他にもいろいろありますが主に以上のような活用法があります。
財産管理には、家族信託以外にも財産管理委任契約や任意後見契約もあります。
高齢者の財産管理にかかわる専門家として、相談者の思いを叶える最善の方法を提案したい
と思います。
自筆証書遺言は、遺言の内容をすべて自筆で書くことが求められていました。
改正法では、遺言の「財産目録」の部分については自書することを要しないとされ、
パソコンで作成したものでも有効とされました。
また、自筆証書遺言の保管制度が創設されました。
これは、遺言者は自身の作成した自筆証書遺言を遺言書保管所として指定された法務局
に対して、遺言の保管申請を行うものです。
これにより遺言書の改ざんやその存在を認識されない等のリスクを避けられるようになる
ことが期待されます。
さらに、旧法では、自筆証書遺言が有効になるためには家庭裁判所での検認手続きが必要
でしたが、改正法により、法務局に保管された自筆証書遺言については、検認手続きを要
しないこととされました。
これらの改正により、記載内容の形式的な不備が解消され、従前より自筆証書遺言が利用
しやすくなりそうです。
中華料理店の経営者から賃料の減額交渉の相談を受けました。
借主が貸主と賃料の減額交渉を検討するのは、なんとかお店を継続するための手段を求めて
いる状況にあるからと思われますが、貸主側にしてみれば今回のコロナ被害による売上減少
に対して賃料減額に応じなければならない法的義務はありません。
借主は、まず役員報酬カットや固定費削減に取り組み、給付金やセーフィティネットを活用
し、それでもお店の継続が困難な状況にある場合に貸主に相談すべきでしょう。
貸主と相談の際は、売上や来客数の減少を訴えるだけでなく、今後の見通しについて具体的
な数字を基に説明できれば貸主の協力を得やすいのではないでしょうか。
「東京都感染拡大防止協力金」
「持続化給付金」