公正証書遺言の作り方

前回は、自筆証書遺言の書き方でしたが、今回は「公正証書遺言」について

です。

これから遺言書を作りたい、という相談を受けた場合にお勧めするのがこの

公正証書遺言です。

この公正証書遺言は、自筆証書遺言と違い作成方法が厳格です。

公正証書遺言は、公証役場で公証人につくってもらう遺言です。

この遺言をつくる際は、戸籍や印鑑証明書など書類だけでなく、遺言の内容

に利害関係のない証人が2名必要になります。

遺言の内容が決まったら、必要書類を用意し、証人と共に公証役場に行き、

遺言を作成します。

公証人の作成した遺言には、遺言者本人と証人2名及び公証人が署名・押印

して公正証書遺言の完成となります。

この公正証書遺言は、自筆証書遺言と比較すると遺言の内容が本人以外にも

知られてしまうことや費用が掛かる等の短所はありますが、作成手順が厳格

なため法律的な証明力が強く、公証人の関与しない自筆証書遺言よりも確実

といえます。

遺言を書く

遺言は、あるとないとでは大違いです。

簡単なものでも遺言があるだけで残された家族はずいぶん助かります。

当事務所で扱った案件の中で、一番シンプルな遺言は、

「私の とちといえは 妻○○に与える」というものでした。

氏名を含めすべて自書し、日付も日にちまでしっかり書かれていました。

もちろん、氏名の下の押印もありました。

自筆証書遺言でしたので家庭裁判所の検認済のものを遺言の内容に従い

相続登記を実行しました。

この案件では、自宅の相続人だけが遺言で指定されていたため、預貯金等

のその他の財産は相続人間の分割協議によって遺産を分けることになった

ので、それらの遺産についても遺言で指定したほうがよかったと思います。

但し、この自筆証書遺言は、簡単に書ける分些細なことで無効になることが

あります。

遺言書を手書きで残される場合は、法的に有効か専門家に確認してもらう

ことをお勧めします。

 

 

遺言を書いたほうが良い

高齢の夫婦の一方(例えば夫)が亡くなると夫婦に子供がいれば残された妻と子が相続人となります。

遺言がない場合は、妻と子供が2分の1ずつ相続します。

子供が二人なら妻4分の2、子供が4分の1ずつですね。

ところが、子供が無く両親も亡くなっている場合は、夫の兄弟が妻と共に相続人となります。

そのため、妻と夫の兄弟との折り合いが悪いと相続手続きがスムーズに進まないかもしれません。

これは、遺産の多い少ないはあまり関係ありません。

夫が妻一人に遺産を残したい場合は、「妻に全財産を相続させる」旨の遺言を書いておけば残された妻と夫の兄弟との遺産分割協議も不要で相続の手続きができます。

兄弟姉妹には、遺留分(民法第1028条)が無いため、遺言書を残しておけば妻一人が相続できるので安心です。

 

成年後見人とは?

成年後見人は、認知症や知的障害などで判断能力が十分でない人に代わって

預貯金の入出金や所有する不動産の売買契約などを代行します。

昔と違い、銀行などは窓口での本人確認を徹底していますから親子の間柄

であっても本人の同行無しに子供がお金をおろすことができません。

不動産売買なども同様ですので、本人の関与無しに契約できないのが原則です。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。資格は不要なので、家族の方がなる

ことが可能ですが、親族間でトラブルがあるケースや財産が多いと判断される

ケースでは司法書士や弁護士などの専門職が成年後見人に選任されることが

あります。

このように、成年後見人は、家庭裁判所が選任しますが、本人の判断能力が

十分なうちに、あらかじめ自分で決めた人を後見人に指定する、任意後見と

いう制度があります。

この任意後見では、自分の判断能力が低下してくると任意後見人としての

役割がはじまります。この役割は、どこまで任せるのかを任意後見契約で

あらかじめ決めておきます。

今は、元気だけれど、将来発生する預貯金の管理や施設への入居手続きなどに不安がある場合には自分が信頼できる人に任意後見をお願いしておくのも良い方法だと思います。

 

 

消滅時効にかかった債権の支払督促

相談者のYさんは、O債権回収会社から支払督促を出されました。Yさんは、2週間以内に異議を出さなければ強制執行されてしまうと考え、法律相談をする前に、異議申立書の「分割払いを希望します」にチェックを入れ、月々の支払額を15,000円と記入して提出していました。異議申立てにより、通常訴訟へ移行してからも、期日呼出状に同封されていた答弁書に月々15000円ずつ支払う旨記載して提出していました。

Yさんが当職に相談にいらしたのは、口頭弁論期日の10日前のことでした。Yさんから詳しく事情を聴き、持参したO債権回収会社からの「法的措置予告通知」及び「支払督促」によると既に時効にかかった債権の支払い請求であることがわかりました。Yさんは、既に異議申立てと答弁書に分割で支払う旨記載して提出済であるため、債務承認が問題となりそうでした。

そこで、まずO債権回収会社に対して、当職から内容証明郵便で消滅時効の意思表示とともに権利濫用や信義則違反等を主張し、債務不存在証明書の交付を要求する旨通知しました。同時に、答弁書を再提出して、提出済の答弁書を撤回するとともに、時効援用する旨主張しました。

その結果、訴訟は、第一回期日に取り下げられ、O債権回収会社から債務不存在証明書も送られてきました。

 

 

夏季休暇のお知らせ

そろそろ梅雨明けでしょうか。

急に夏らしい陽気になりました。

さて、当事務所は、以下の期間を夏季休暇とさせていただきます。

令和元年8月10日(土)から8月18日(日)まで

 

8月19日(月)より通常どおり営業いたします。

 

 

離婚と財産分与

民法第768条1項は、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と規定しています。

財産分与は、婚姻中に夫婦が得た財産を清算することが目的でその割合は原則として2分の1ずつとされています。

清算の対象となる財産は、自宅不動産や預貯金、保険金などが考えられます。不動産など物理的にそれぞれに分けられない財産は、共有名義にするか売却して代金を分けることになります。なお、夫婦間の協議がまとまらない場合は、離婚から2年以内であれば家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます(民法第768条2項)。

相続法改正

今般の相続法の改正では、新設あるいは変更された条項は多岐にわたります。

その中の一つに、配偶者の居住権を保護するための制度が新設されました。

配偶者の居住建物を対象として一定期間、無償で配偶者に使用を認める制度で「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」というものです。

「配偶者短期居住権」は、例えば、相続人間の遺産分割協議が終了するまでの間のように比較的短期間に限って使用を認めるものです。

これに対し、「配偶者居住権」は、終身の使用を原則としています。

なお、この「配偶者居住権」及び「配偶者短期居住権」の改正法施行期日は

2020年4月1日になりました。

債務整理後の住宅ローン

過去に債務整理をした方から住宅ローンの相談を受けることがあります。
現在は、経済的に再起し貯金もできるようになったのでマイホームの購入
を検討しているが、住宅ローンの審査に通るか不安なようです。

このような場合は、まずご自身の「信用情報」を取り寄せましょう。
信用情報機関は、「全国銀行個人信用情報センター」「シー・アイ・シー」
「JICC」の3機関がありますが、住宅ローンの審査が気になる場合は、
この3機関すべてからご自身の信用情報を取り寄せる必要があります。
そこに異動参考情報、例えば「債務整理」「破産申立」「カード強制解約」
等の情報(いわゆる事故情報です)が記載されている場合は、住宅ローン
の審査にはまず通りません。
ただし、前記した事故情報は、登録期間が発生日から5年を超えない期
とされていますので債務整理が終わって5年以上経過しているようなら
すぐに消えるかもしれません。但し、全国銀行個人信用情報センターでは、
官報公告された破産や民事再生の登録期間を「開始決定から10年を超え
ない期間」としています。念のため。

いずれにせよ、ひとりで悩んでいても時間の無駄です。
次の対策のために、まずは信用情報を取り寄せましょう。

夏季休暇のお知らせ

当事務所は、8月11日から8月15日を夏季休暇とさせていただきます。

なお、8月16日と17日は、営業時間を10時30分から16時30分まで
とさせていただきますのでご注意ください。

8月20日より通常通り(9時30分から18時30分)営業いたします。