相続されない債務とは?新宿の司法書士がわかりやすく解説

新宿の司法書士が相続の相談に丁寧に応じているイメージ画像

「親が亡くなったら、借金まで引き継がなければならないの…?」そう不安になったことはありませんか?相続というと、プラスの財産ばかり注目されがちですが、実は借金などのマイナスの財産(債務)も原則として相続の対象になります。でも、「すべての債務が相続される」わけではないんですよね。中には、法律上の理由から相続されない債務というものが存在します。

この記事では、「相続されない債務とはどんなものか」「どういう理由で相続が否定されるのか」を、法律の専門用語をできるだけわかりやすくかみ砕いてご説明します。新宿駅南口から徒歩7分の星総合法務事務所のスタッフが、相談の現場で感じたリアルな疑問にもお答えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

相続の大原則:債務も財産のうち

相続における財産とマイナスの債務の両方を示す天秤のイメージ

まず、相続の基本からおさらいしましょう。民法896条には、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定められています。これが相続の大原則です。

「一切の権利義務」には、プラスの財産(不動産・預金・株式など)だけでなく、マイナスの財産(借金・ローン・保証債務など)も含まれます。そうなんですね、相続はいいことばかりではないんです。親が多額の借金を抱えていた場合、相続人がそのまま背負ってしまうリスクがある、というわけです。

ただし、例外があります。民法896条のただし書きには「被相続人の一身に専属したもの」は相続の対象とならないと書かれています。この「一身専属」という考え方が、相続されない債務を理解するうえでの重要なキーワードになります。

一身専属的な義務とは?

一身専属的な扶養義務を象徴する親子の温かいイメージ

「一身専属」とは、その人個人に強く結びついていて、他の人に引き継ぐことができない性質のことをいいます。わかりやすくいうと、「その人だからこそ負う義務」です。

扶養義務・婚姻費用分担義務

扶養義務(民法877条)や、夫婦間の婚姻費用分担義務(民法760条)は、その人の身分・人間関係に基づいて発生するものです。たとえば、父親が子どもに対して負っていた養育費の支払い義務は、父親が亡くなったとしても相続人がそのまま引き継ぐわけではありません。

ただし、ここで注意が必要です。慎重に!扶養義務そのものは相続されませんが、被相続人の死亡以前にすでに具体的な金額が確定していた未払いの養育費や婚姻費用については、通常の金銭債権として相続の対象になるとされています。「義務そのもの」と「すでに発生した具体的な債務」は区別して考える必要があります。

種類相続の対象備考
扶養義務・婚姻費用分担義務(抽象的)✕ 相続されない一身専属権のため
すでに金額が確定した未払いの養育費・婚姻費用○ 相続される金銭債権として確定しているため

親権・生活保護受給権

親権(民法818条)も一身専属的な権利であり、相続の対象とはなりません。また、生活保護を受ける権利も、受給者の個人的な状況に基づいて国が認めるものですから、同様に相続されません。

契約の終了事由としての死亡

一身専属の考え方とは少し異なりますが、民法上、「当事者の死亡」を契約の終了事由と定めている契約類型があります。これらの契約に基づく義務は、当然に相続の対象とはなりません。

使用貸借(民法597条)

使用貸借とは、物をタダで貸し借りする契約です。民法597条3項により、借主が死亡した場合には契約が終了するとされています。たとえば「親の友人に無償で部屋を貸していた」という場合、その親が亡くなれば使用貸借契約は終了し、相続人がその貸借義務を引き継ぐことはありません。

委任契約(民法653条)

委任契約も、当事者の死亡によって終了します(民法653条1号)。たとえば、「事務処理を依頼していた」という関係は、委任者または受任者が死亡すると契約自体が終わってしまいます。相続人がそのまま委任関係を引き継ぐわけではない、ということですね。

判例で認められた「相続されない地位」

次に、明文規定はないものの、判例(裁判所の判断)によって相続性が否定されているものを見ていきましょう。いいですね!こういった判例の積み重ねが、実務の現場でとても重要な指針になっています。

包括的根保証契約の保証人の地位

根保証とは、特定の債務ではなく、ある一定の範囲に含まれる複数の債務を将来にわたって保証する契約です。そのなかでも「包括的根保証」は、限度額も期間も定めのない非常に広汎な保証契約です。

判例は、このような包括的根保証の保証人の地位について、特段の事情がない限り相続されないとしています。理由は明快です。限度がわからない保証責任を、主債務者と信頼関係のない相続人にまで及ぼすのは酷すぎる、ということです。

法改正の経緯として、以下の2段階を整理しておくことが重要です。慎重に確認してください!

①2005年(平成17年)4月1日施行の改正では、保証人が個人で、かつ保証の範囲に貸金等債務(金銭の貸渡しや手形割引による債務)が含まれる根保証契約(個人貸金等根保証契約)に限定して、極度額の定めのないものは無効とされました。これにより、銀行融資などの貸金分野における包括根保証が事実上禁止されました。

②2020年(令和2年)4月1日施行の改正では、この規制の対象が大幅に拡大され、貸金等に限らずすべての個人根保証契約(賃貸借の保証・身元保証など)について、極度額の定めのないものは無効とされました(民法465条の2)。

つまり現在は、種類を問わずすべての個人根保証契約に極度額の設定が義務付けられています。最新の法令情報は必ずご確認ください。

身元保証契約の身元保証人の地位

身元保証契約とは、就職する際などに「この人が問題を起こしたら私が責任を取ります」と会社に約束する契約のことです。これは、身元保証人と本人(被保証人)との個人的な信頼関係があってこそ成立するものです。

判例は、この身元保証人の地位も、特段の事情のない限り相続されないとしています。考えてみれば当然ですよね。本人をよく知っているから保証を引き受けるわけで、全く面識のない相続人が「はい、代わりに保証します」とはいかないわけです。

また、2020年(令和2年)4月1日施行の改正民法により、身元保証契約は個人根保証契約に該当するものとして、民法465条の2が直接適用されます。その結果、極度額(賠償額の上限)の定めのない身元保証契約は無効となります。身元保証書を取り交わす際は、必ず極度額を書面で明記しなければなりません。

契約の種類地位の相続根拠現在の規制(2020年改正後)
包括的根保証(貸金等)✕ 相続されない判例+2005年改正極度額なしは無効(個人貸金等根保証)
包括的根保証(貸金等以外)✕ 相続されない判例+2020年改正極度額なしは無効(全個人根保証に拡大)
身元保証✕ 相続されない判例+2020年改正民法465条の2が直接適用。極度額なしは無効
通常の保証(極度額あり)○ 相続される民法相続人が保証人の地位を承継

「死亡時に発生済みの債務」は例外的に相続される

ここが最も混乱しやすいポイントです。慎重に確認してください!

上でご説明した「相続されない」契約(包括的根保証・身元保証・委任・使用貸借など)に基づく債務であっても、被相続人が亡くなった時点ですでに具体的に発生していた債務は、相続の対象になります。

たとえば、身元保証人であった被相続人が亡くなる前に、被保証人がすでに会社に損害を与えていて、身元保証人としての賠償義務が具体的に発生・確定していたとしましょう。この場合、その賠償債務はすでに金銭的な義務として確定していますから、相続人に引き継がれることになります。

「保証人としての地位そのもの」と「すでに発生した具体的な債務」は別物として扱われる、というわけです。この区別は実務上とても重要で、相談の現場でも「え、それも相続されるの?」と驚かれる方がとても多いです。

相続放棄・限定承認という選択肢

債務の相続が心配な場合は、相続放棄や限定承認という法的手段も検討できます。

相続放棄は、相続自体をすべて放棄するもので、プラスの財産も一切引き継ぎません。相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

限定承認は、相続で得たプラスの財産の範囲内でのみ債務を引き継ぐという方法です。こちらも3か月以内の手続きが必要で、相続人全員で行わなければならない点が特徴です。

手続き内容期限特徴
相続放棄相続を全部放棄3か月以内個人で申述できる
限定承認プラスの範囲内で債務を承継3か月以内相続人全員で申述が必要
単純承認一切の権利義務を承継3か月を過ぎると自動的に成立借金も全部引き継ぐ

これらの手続きは期限が厳しいので、「どうしようか迷っている」という時間がもったいないです。相続開始を知ったら、なるべく早めに専門家にご相談されることをおすすめします。

まずはお気軽にご相談ください

相続されない債務についてご不安なことがあれば、どうぞ一人で抱え込まないでください。星総合法務事務所では、新宿・渋谷エリアを中心に、皆さまの大切な手続きを丁寧にサポートしています。

司法書士【星総合法務事務所】
📍 東京都渋谷区代々木2丁目20番2号 美和プラザ新宿501
📞 TEL:03-6709-2916
🚶‍♂️ 新宿駅南口から徒歩7分
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🌐 https://hoshi-office.com/

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よくある質問(FAQ)

Q1. 親が借金の保証人だった場合、子どもが保証債務を相続しますか?

通常の保証債務(極度額が定められた保証契約)は相続の対象となり、相続人が保証人の地位を引き継ぎます。ただし、包括的根保証契約の保証人の地位は、原則として相続されません。なお、被相続人の死亡時点ですでに具体的な保証債務が発生していた場合は、その金額については相続されます。

Q2. 扶養義務(養育費)は相続されますか?

扶養義務そのものは一身専属的な義務であるため、相続されません。ただし、被相続人が生前に支払うべきだった養育費や婚姻費用が未払いのまま金額として確定していた場合は、その未払い分は金銭債権として相続の対象になります。

Q3. 身元保証人だった親が亡くなりました。子どもが引き継ぐことになりますか?

原則として、身元保証人の地位は相続されません。ただし、親が亡くなる以前に身元保証に基づく賠償義務がすでに発生・確定していた場合は、その債務は相続の対象となります。また、2020年4月以降に締結した身元保証契約で極度額の記載がないものは、そもそも無効となる可能性があります。心配な場合は速やかに専門家にご相談ください。

Q4. 委任契約の義務も相続されないと聞きましたが、例外はありますか?

委任契約は当事者の死亡によって終了しますが(民法653条1号)、終了時点で未精算の報酬や費用などの金銭債務は、すでに発生した債務として相続の対象になる場合があります。具体的なケースは事案によって異なりますので、専門家にご確認ください。

Q5. 相続したくない借金がある場合、どうすればいいですか?

相続開始(被相続人が亡くなったことを知った日)から3か月以内に、家庭裁判所へ「相続放棄」を申述する方法があります。相続放棄を行うと、プラスの財産も含めて一切の相続を放棄することになります。借金の額や財産の状況を整理したうえで、早めに司法書士にご相談されることをおすすめします。新宿駅南口から徒歩7分の星総合法務事務所でも、お気軽にご相談いただけます。

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