障害のある子どものための家族信託|司法書士が親亡き後の不安を解決策とともに解説

障害のある子どもと寄り添う親のイメージ|家族信託で親亡き後の安心を

「自分がいなくなった後、この子はちゃんと生きていけるだろうか…」

障害のあるお子さんをお持ちの親御さんにとって、この問いは毎日頭の片隅に居続けるものではないでしょうか。そうなんですね、親としての本能的な不安というものは、誰にも止められないものです。でも、その不安を少しでも和らげるために、今できることがあります。

それが「家族信託」という制度です。この記事では、障害のあるお子さんを持つご家族に向けて、家族信託のしくみ・メリット・手続きの流れをわかりやすく解説します。難しい法律用語もかみ砕いてお伝えしますので、どうぞ最後まで読んでみてください。

新宿駅南口から徒歩7分の司法書士【星総合法務事務所】には、こうした「親亡き後問題」についてのご相談が多く寄せられています。この記事がその第一歩になれば、とても嬉しいです。

目次

「親亡き後問題」とは何か?

親亡き後問題を静かに考える母親のイメージ

障害のあるお子さんを育てる親御さんが共通して抱える悩み、それが「親亡き後問題」です。平たく言えば、「自分が亡くなった後、子どもの生活を誰がどう守るのか」という問題です。

日本では、成年になると本人が自分の財産を管理する権利を持ちます。しかし知的障害・精神障害・発達障害などにより判断能力が不十分な場合、財産管理が難しくなることがあります。親が亡くなった後に残した財産が適切に管理されなかったり、詐欺や不正利用の被害に遭ってしまったりするリスクも、残念ながら現実として存在するのです。

「成年後見制度があるじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。たしかに成年後見制度は重要なセーフティネットですが、柔軟な財産管理という点では制約も多く、家族信託と比較して検討する価値があります。この点は後ほど詳しくお伝えします。

家族信託とはどんな制度?基本のしくみをやさしく解説

家族信託とは、「信頼できる家族に財産の管理・運用を任せる」契約の仕組みです。

登場人物は主に3人います。

役割呼び名どんな人?
財産を預ける人委託者通常、親(財産の所有者)
財産を管理する人受託者信頼できる家族(例:長女・長男など)
財産から利益を受け取る人受益者最初は親、後に障害のある子ども

この3つの関係性をあらかじめ契約書(信託契約)に定めておくことで、「誰が・何を・どのように管理し・誰のために使うか」を法的に確定させることができます。少し具体的なイメージを持っていただくために、ひとつの例を見てみましょう。

具体例でイメージしてみよう

家族が信託について話し合うテーブルを囲むシーンのイメージ

たとえばこんなケースを考えてみてください。

  • 父親がアパートを所有している
  • 長男に障害があり、将来の生活が心配
  • 長女が長男のことを大切にしており、サポートしてくれている

この場合、父親が元気なうちに次のような家族信託を設定することができます。

信託設定の内容:

  • 委託者兼受益者:父親(アパートの収益=賃料は父親に入る)
  • 受託者:長女(アパートの管理・運営を担う)
  • 次の受益者(第二受益者):長男(父親が亡くなった後、賃料を受け取る)

これによって何が起きるかというと――父親が認知症になっても、アパートの管理は長女が続けられます。信託された財産は「信託財産」として父親の個人財産とは区別されているため、たとえ父親の判断能力が低下しても財産が凍結されることがありません。そして父親が亡くなった後は、あらかじめ契約に定めておいた長男が賃料収入を受け取る受益者になります。いいですね!このように、将来を見据えた財産の「リレー」ができるのが家族信託の大きな特徴です。

また、信託した財産は遺産分割の対象外となるため、相続時に他の相続人との間でトラブルになりにくいというメリットもあります。

家族信託と成年後見制度の違いを比較

「成年後見制度と何が違うの?」という疑問はよくいただきます。そうなんですね、混同されがちなのですが、目的も使い方もかなり異なります。

比較項目家族信託成年後見制度
開始タイミング判断能力があるうちに設定判断能力が低下した後に申立て
管理者家族(受託者)家庭裁判所が選任した後見人
柔軟性高い(契約内容で自由設計)低い(裁判所の監督下)
費用(継続的)原則なし専門家が後見人の場合は継続報酬が発生(親族後見人は無報酬のケースもあり)
親亡き後への対応契約であらかじめ設計可能別途対応が必要
財産管理の範囲契約内容の範囲で柔軟に対応可能原則として現状維持が基本

どちらが「正解」というわけではありません。お子さんの状況やご家族の事情によって、最適な選択は変わります。慎重に!一人で判断せず、専門家に相談することをおすすめします。

家族信託でできること・できないこと

家族信託の受託者として書類を確認する女性のイメージ

家族信託は非常に便利な制度ですが、万能ではありません。正しく理解した上で活用することが大切です。

家族信託でできること

  • 不動産・預貯金などの財産管理を家族に委ねる
  • 親の生存中から子どもへの財産の流れを設計する
  • 親が認知症になっても財産が凍結されない仕組みをつくる
  • 親亡き後の受益者を契約書であらかじめ指定しておく
  • 遺言では難しい「二次相続以降の財産の流れ」を設計できる(受益者連続信託)
  • 財産の管理・活用の範囲を契約内容によって柔軟に設計できる(実務上の制約もあるため、詳細は専門家にご確認ください)

家族信託でできないこと・注意点

  • 身上監護(介護施設の契約・医療同意など)は対応できない
  • 年金・健康保険など一身専属権は信託できない
  • 信託できない財産の種類もある(農地など)
  • 受託者になれる個人には一定の制限がある(未成年者・成年被後見人・被保佐人は不可)

身上監護については、成年後見制度や任意後見制度との併用が有効です。ここで少し補足しておくと、任意後見制度は本人が元気なうちに「将来、判断能力が低下したときに備えて誰に後見を任せるか」をあらかじめ契約しておく制度です。家族信託で財産管理を、任意後見で身上監護をカバーするという組み合わせは、親亡き後対策としてとても有効です。

手続きの流れと必要書類

家族信託を設定するまでの大まかな流れをご紹介します。ケースによって異なる場合もありますので、あくまで目安としてご参照ください。

ステップ内容目安期間
1. 家族会議・方針決定誰が受託者になるか、どの財産を信託するかを話し合う1〜2週間
2. 専門家への相談司法書士などに相談し、信託の設計をする1〜2週間
3. 信託契約書の作成公正証書として作成することが推奨される2〜4週間
4. 信託口口座の開設金融機関に信託専用口座を開設する1〜2週間
5. 不動産の名義変更信託登記を行う(司法書士が対応)1〜2週間

全体として、準備から完了まで1〜3か月程度かかることが多いようです。ただし、金融機関の審査状況や公証役場の予約状況によっては、さらに時間がかかる場合もあります。早めに動き始めることが、ご家族みんなの安心につながりますね。

主な必要書類(一例)

  • 委託者・受託者・受益者の印鑑証明書・戸籍謄本
  • 信託する不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書
  • 信託口口座開設に必要な書類(金融機関ごとに異なる)

最新の必要書類については、必ず専門家または関係機関にご確認ください。法令・制度の改正により変更となる場合があります。

費用の目安

家族信託の設定にかかる費用は、財産の規模や内容によって大きく異なります。一般的な目安として、次のような費用が発生することが多いようです。

費用項目目安
司法書士報酬(設計・書類作成)ケースにより異なります
公正証書作成費用公証役場の手数料規定によります
信託登記費用(登録免許税など)不動産評価額によります

「いくらかかるの?」というのはもっとも気になる点ですよね。費用は財産内容・信託の複雑さによって変わりますので、まずはご相談ください。概算のお見積りを出すことが可能です。

「遺言」と組み合わせるとさらに安心

家族信託は遺言と組み合わせることで、より強固な「親亡き後対策」になります。

信託した財産は遺産分割の対象外ですが、信託していない財産については遺言書での指定が有効です。たとえば、信託財産以外の預貯金や生命保険の受取人指定、祭祀継承者の指定なども遺言書に盛り込むことで、ご家族への負担を大きく減らすことができます。

「遺言と家族信託、どちらが自分に向いているか」という悩みも、司法書士に相談することで整理できます。新宿周辺で相談場所をお探しの方は、ぜひ星総合法務事務所にお声がけください。

まずはお気軽にご相談ください

障害のあるお子さんのための家族信託についてご不安なことがあれば、どうぞ一人で抱え込まないでください。星総合法務事務所では、新宿・渋谷エリアを中心に、皆さまの大切な手続きを丁寧にサポートしています。

司法書士【星総合法務事務所】
📍 東京都渋谷区代々木2丁目20番2号 美和プラザ新宿501
📞 TEL:03-6709-2916
🚶‍♂️ 新宿駅南口から徒歩7分
🚶‍♂️ 京王新線・都営大江戸線 新宿駅6番出口から徒歩2分(6番出口を出てすぐです!)
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よくある質問(FAQ)

Q1. 家族信託は障害のある子どもが何歳でも設定できますか?

家族信託の設定に、受益者となるお子さんの年齢制限はありません。ただし、委託者(通常は親)が十分な判断能力を持っているうちに設定することが必要です。認知症が進行してからでは設定できないケースもありますので、元気なうちに動き始めることが大切です。

Q2. 受託者になれる家族に条件はありますか?

未成年者・成年被後見人・被保佐人は受託者になれません(信託法7条)。それ以外の方であれば、原則として家族であれば受託者になれます。ただし財産管理の責任を担う立場ですので、信頼性・管理能力・当事者間の合意が重要です。長女・次男・親族など、実情に合わせてご家族で話し合いましょう。

Q3. 家族信託を設定すると遺産相続はどうなりますか?

信託した財産は相続財産(遺産分割の対象)と区別されます。信託財産については信託契約の内容に従って受益者に引き継がれます。一方、信託していない財産については通常の相続手続きが必要です。遺言書と組み合わせることで、より包括的な相続設計が可能になります。

Q4. 親が亡くなった後も家族信託は続きますか?

はい、続けることができます。信託契約にあらかじめ「親(第一受益者)が亡くなったら障害のある子ども(第二受益者)が受益者になる」と定めておけば、親亡き後も信託は継続します。これが「受益者連続型信託」と呼ばれるしくみ(信託法91条)で、まさに親亡き後問題への有力な対策です。

Q5. 成年後見制度と家族信託は併用できますか?

はい、併用は可能ですし、むしろ推奨される場合があります。家族信託は財産管理に強く、成年後見制度は身上監護(介護・医療同意など)に対応します。また、本人が元気なうちに締結できる「任意後見制度」と家族信託を組み合わせることで、財産管理と身上監護の両方をカバーした手厚い親亡き後対策が実現できます。どちらが適しているかはご家族の状況によりますので、まずは専門家にご相談ください。

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