公正証書遺言の作り方|司法書士が手順・費用・必要書類をわかりやすく解説

司法書士と高齢夫婦が明るいオフィスで公正証書遺言について相談している場面

「遺言書を作りたいけど、何から始めればいいんだろう…」と感じたことはありませんか?特に「公正証書遺言」という言葉を聞いて、なんとなく難しそう、手続きが面倒そうと思っている方も多いのではないでしょうか。

そうなんですね。私たちのもとへ相談にいらっしゃる方の多くが、最初はそんな印象を持っていらっしゃいます。でも、一つひとつ順番に理解していくと、意外とシンプルな流れとわかります。この記事では、公正証書遺言の「何が」「なぜ」「どうやって」を、できる限り噛み砕いてご説明します。

公正証書遺言は、数ある遺言書の種類の中でも最も確実性が高く、私たち司法書士が相談者に最初におすすめする形式です。また、2025年10月からは作成の仕組みが大きく変わり、手続きのデジタル化が進みました。最新情報もふまえてご説明しますね。

目次

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

白いデスクに並べられた自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類の書類

遺言書には大きく「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。秘密証書遺言は実務上ほとんど利用されておらず、一般的に選択肢となるのは前者の2種類です。

2つの遺言書の特徴を整理してみましょう。

比較項目自筆証書遺言公正証書遺言
作成方法自分で全文を手書き公証人が作成(公証役場で手続き)
費用基本的に無料(法務局保管制度利用で手数料あり)財産額に応じた手数料が必要
証人不要2名必要
法的証明力形式不備・内容の曖昧さにより無効になるリスクあり高い(公証人が内容・方式を確認するため)
家庭裁判所の検認原則必要(法務局保管制度利用時は不要)不要
紛失・偽造リスクあり(法務局保管時は低い)原本が公証役場に保管されるため安心
プライバシー完全に秘密にできる公証人・証人に内容が伝わる(守秘義務あり)

自筆証書遺言は費用をかけずに手軽に作れる点が最大のメリットです。ただし書き方に不備があると無効になるリスクがあります。公正証書遺言は費用こそかかりますが、公証人という法律の専門家が関与するため、形式不備で無効になる心配がほとんどなく、法的な証明力も格段に高くなります。

「大切な財産と想いを確実に残したい」と考えるなら、公正証書遺言を選ぶ方が安心ですね。

公正証書遺言とは?基本をおさえましょう

公証役場の執務室で書類に署名する公証人のイメージ

公正証書遺言とは、公証役場の公証人に遺言書を作成してもらう遺言書です。公証人は法務大臣が任命した実質的な公務員で、多年にわたり裁判官・検察官・弁護士などの経験を積んだ法律の専門家です。

遺言者(あなた)が遺言の内容を口頭で公証人に伝え(これを「口授」と言います)、公証人がそれを文書にまとめ、遺言者・証人2名・公証人が署名等をすることで完成します。原本は公証役場に保管されますので、紛失・偽造・隠匿の心配が一切ありません。また、家庭裁判所での検認手続きが不要なため、相続が発生したときの手続きもスムーズになります。

慎重に、大切な想いを形に残したいなら、これほど心強い方法はないと思いませんか?

【2025年10月から変わった】公正証書遺言のデジタル化

2025年10月1日より、公正証書の作成手続きが大きく変わりました。これは法務省が推進する公証制度のデジタル化によるものです。

変更のポイント

① 公正証書が原則として電子データで作成・保管

これまで紙に印字・署名・押印して作成していた公正証書遺言が、原則として電磁的記録(電子データ)で作成されるようになりました。遺言書の正本・謄本に相当するものも電子データで発行されます(書面での発行も可能です)。

② 遺言者・証人の署名が電子サインに

当日の手続きでは、遺言者および証人2名が遺言公正証書の原本となる電磁的記録に電子サインをする形式になりました。なお、遺言者が病気等により電子サインができない場合は、公証人が遺言公正証書にその旨を記録・記載することで対応できます。

③ 一定の条件を満たす場合にリモート作成が可能

離島等で公証役場へのアクセスが困難な場合や、感染症予防の観点などから公証人の出張が困難な事情があり、かつ本人確認や遺言意思の確認に支障がないと公証人が相当と認めた場合に限り、ウェブ会議(リモート)で公正証書遺言を作成することも可能になっています。

ただし、リモート方式はすべての方が自由に選べるわけではありません。利用には公証人の判断が必要です。具体的な運用については、担当の公証役場に事前にご確認されることをおすすめします。最新情報は必ず日本公証人連合会または最寄りの公証役場でご確認ください。

公正証書遺言の作成手順

公正証書遺言の作成は、大きく「準備」「公証役場との相談・調整」「作成当日」の3ステップで進みます。

ステップ1:遺言の内容を決める

まずは「誰に」「何を」「どのように」残したいかを整理します。財産の内容・分け方・遺言執行者の選定などを具体的に考えておきましょう。この段階で司法書士にご相談いただくと、法律的に有効な遺言内容を一緒に整理できます。いかがでしょう?

ステップ2:必要書類を揃える

公証役場へ提出する書類を準備します。主な必要書類は以下のとおりです(事案によって異なりますので、必ず最寄りの公証役場に確認してください)。

書類取得場所備考
遺言者の印鑑登録証明書市区町村役場発行から3か月以内のもの(運転免許証・マイナンバーカード等の顔写真付き身分証明書でも可)
遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本・除籍謄本市区町村役場続柄が確認できるもの
相続人以外に遺贈する場合はその方の住民票等市区町村役場住所の確認ができるもの(手紙・ハガキ等も可)。法人の場合は登記事項証明書
不動産の登記事項証明書法務局不動産を相続・遺贈する場合
固定資産評価証明書または固定資産税・都市計画税納税通知書の課税明細書市区町村役場不動産の評価額確認用
預貯金通帳またはそのコピーご自身で準備預貯金がある場合
証人の氏名・住所・生年月日のメモご自身で準備証人を遺言者側が手配する場合

ステップ3:公証役場へ事前相談・依頼

必要書類と遺言内容のメモが揃ったら、公証役場に連絡して相談・打ち合わせをします。なお、相談はすべて無料です。公証人は遺言書の案を作成し、遺言者にメール等で提示してくれます。内容を確認して修正したい箇所があれば、その旨を伝えることで修正してもらえます。

ステップ4:作成当日の手続き

遺言書の案が確定したら、作成日を決めて公証役場へ出向きます(事情によっては公証人の出張も可能)。当日は以下の流れで進みます。

  1. 遺言者が公証人に対し、証人2名の前で遺言の内容を改めて口頭で伝える(口授)
  2. 公証人が遺言者の真意であることを確認した上で、事前準備した遺言書を読み聞かせまたは閲覧させる
  3. 内容に間違いがないことを遺言者・証人2名が確認する
  4. 遺言者・証人2名が電子サインをする
  5. 公証人が電子署名をして遺言公正証書の完成

公正証書遺言の費用

公正証書遺言の作成にかかる費用は、公証人手数料令という政令で法定されています。費用の構成は大きく3種類です。

公証役場への手数料(公証人手数料令第9条別表)

手数料は財産を受け取る人(相続人・受遺者)ごとに、その財産の価額に応じて計算し、合算します。

目的の価額(受取人ごと)手数料
50万円以下3,000円
50万円超〜100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下13,000円
500万円超〜1,000万円以下20,000円
1,000万円超〜3,000万円以下26,000円
3,000万円超〜5,000万円以下33,000円
5,000万円超〜1億円以下49,000円

遺言加算:財産の総額が1億円以下の場合、上記の合算額にさらに13,000円が加算されます。

正本・謄本に相当する電子データの手数料:各1通あたり2,500円。書面で発行する場合は1枚あたり300円。

枚数加算:公正証書原本を紙に出力した場合、3枚を超えると1枚あたり300円が加算されます。

公証人出張の場合:遺言者が公証役場に出向けず、公証人が病院・自宅・老人ホーム等に出張した場合は、日当(4時間以内:10,000円、1日:20,000円)と交通費が別途かかります。また、病床での作成時は手数料が50%加算される場合があります。

必要書類の取得費用

戸籍謄本・印鑑証明書など各種証明書類の取得費用として、数百円〜数千円程度が目安です。ケースによって異なります。

司法書士への報酬

内容の整理・書類収集・証人の手配などをサポートしてもらう場合、別途報酬が発生します。具体的な金額はケースによって異なりますので、まずはご相談の上でお見積もりをご提示します。

公正証書遺言の証人について

公正証書遺言には、必ず「利害関係のない証人」が2名必要です。

証人になれない方(民法の規定)

  • 未成年者
  • 推定相続人(将来、遺言者の相続人になる予定の方)
  • 受遺者(遺言で財産を受け取る予定の方)
  • 推定相続人および受遺者の配偶者・直系血族

適当な証人が見当たらない場合は、公証役場でも紹介してもらえます。また、司法書士が証人を引き受けることも可能ですので、ご相談ください。

遺言を書いたほうがよいケースとは

遺言の必要性が特に高いのは、次のような場合です。

  • 夫婦の間に子供がいない場合(きょうだいへの相続を避けたいとき)
  • 再婚していて先妻・後妻の子が混在する場合
  • 長男の嫁など相続権のない方に財産を残したい場合
  • 内縁の配偶者に財産を残したい場合
  • 個人事業・農業など家業を特定の人に承継させたい場合
  • 障害のある子に多く相続させたいとき

そうなんですね、「うちは大丈夫」と思っていても、遺言がないために相続争いが起きるケースは少なくありません。新宿周辺でもそうした相談をよく受けます。元気なうちに、大切なご家族のために、一度真剣に考えてみてほしいですね。

公正証書遺言を司法書士に依頼するメリット

手続きの流れ自体はシンプルでも、遺言の内容や財産の整理は思いのほか複雑になることがあります。司法書士に依頼することで得られる主なメリットは以下のとおりです。

  • 法律的に有効な遺言内容を一緒に整理・確認できる
  • 相続人・財産の調査サポートが受けられる
  • 必要書類の収集を一部代行してもらえる
  • 証人の手配が可能(2名必要な場合)
  • 公証人との事前交渉・連絡を任せられる
  • 将来の相続トラブルを未然に防ぐアドバイスがもらえる

遺言書は「書いて終わり」ではなく、残された家族がスムーズに手続きできる内容にすることが大切です。慎重に、丁寧に取り組むことが、大切なご家族への最後の贈り物になりますね。新宿駅南口から徒歩7分の当事務所では、初回のご相談を承っております。

まずはお気軽にご相談ください

公正証書遺言についてご不安なことがあれば、どうぞ一人で抱え込まないでください。星総合法務事務所では、新宿・渋谷エリアを中心に、皆さまの大切な手続きを丁寧にサポートしています。

司法書士【星総合法務事務所】
📍 東京都渋谷区代々木2丁目20番2号 美和プラザ新宿501
📞 TEL:03-6709-2916
🚶‍♂️ 新宿駅南口から徒歩7分
🚶‍♂️ 京王新線・都営大江戸線 新宿駅6番出口から徒歩2分(6番出口を出てすぐです!)
🌐 https://hoshi-office.com/

よくある質問(FAQ)

Q1. 公正証書遺言はどこで作れますか?

全国の公証役場で作成できます。遺言者の住所地や不動産の所在地などを管轄する公証役場が一般的な利用先です。2025年10月からは、公証人が相当と認めた一定の条件下でウェブ会議によるリモート作成も可能になりました。最寄りの公証役場は、日本公証人連合会のウェブサイトからご確認ください。

Q2. 証人は誰に頼めばよいですか?

相続に利害関係のない方2名が必要です。推定相続人・受遺者・その配偶者や直系血族などは証人になれませんのでご注意ください。適当な証人が見当たらない場合は公証役場でも紹介してもらえます。司法書士が証人を引き受けることも可能ですので、お気軽にご相談ください。

Q3. 公正証書遺言は後から変更できますか?

はい、遺言者が生きている間はいつでも、何回でも変更・撤回できます。変更・撤回は新たな遺言の形式で行う必要があります。内容が矛盾する遺言が複数ある場合は、原則として最後に作成したものが有効となります。

Q4. 費用はだいたいいくらかかりますか?

公証役場への手数料は財産額や相続人の人数によって変わります。財産総額が1億円以下の場合、受取人ごとに計算した手数料の合計に「遺言加算13,000円」が加算されます。さらに正本・謄本に相当する電子データ各1通2,500円などが必要です。具体的な金額はケースによって大きく異なりますので、まずはご相談ください。

Q5. 自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらを選べばよいですか?

費用を抑えて手軽に作成したい場合は自筆証書遺言が選択肢ですが、形式不備で無効になるリスクがあります。確実性と安心感を重視するなら公正証書遺言がおすすめです。特に財産が多い・相続人関係が複雑・相続トラブルを未然に防ぎたいといった場合には、公正証書遺言の選択が賢明ですね。迷ったときはお気軽にご相談ください。

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