家族信託とは?認知症になる前に知っておきたい財産管理の備え方

家族信託について父親と息子がリビングで書類を見ながら話し合っているシーン

「親がそろそろ認知症になるかもしれない…」「もし自分の判断能力が落ちたとき、財産はどうなるの?」そんな不安を感じたことはありませんか?実は、そのタイミングで多くの方がはじめて「家族信託」という言葉に出会います。でも、「むずかしそう…」と感じて、そのままにしてしまっている方もとても多いんですよね。

この記事では、家族信託の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、成年後見制度との違い、手続きの流れまで、できるだけわかりやすくご説明します。新宿駅南口から徒歩7分の当事務所では、日々たくさんのご相談をお受けしている立場からお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

家族信託とは?まずは仕組みを理解しよう

司法書士が高齢の夫婦に家族信託の仕組みを丁寧に説明しているオフィスのシーン

家族信託とは、自分の財産(不動産・預貯金・株式など)を信頼できる家族に託し、あらかじめ決めた目的に従って管理・運用してもらう仕組みです。

特徴的なのは、「財産を管理する権利」「財産から利益を受け取る権利」を分離できる点です。たとえば親が子どもに不動産の管理を任せながら、家賃収入は引き続き親が受け取る、ということが可能になります。

3人の登場人物を押さえよう

家族信託では、次の3つの役割が登場します。

役割呼び方説明
財産を持ち、家族に託す人委託者親など財産の持ち主。信託の内容を決める
財産を預かり、管理・運用する人受託者子どもなど信頼できる家族
財産から生まれる利益を受け取る人受益者多くの場合、委託者と同一人物(=親)

たとえば「親(委託者 兼 受益者)が元気なうちに、賃貸アパートの管理を子ども(受託者)に任せる契約を結ぶ」というのが、家族信託の典型的なパターンです。そうなんですね、名義は子どもに移っていても、家賃収入はお父さん・お母さんのものになるわけです。

なぜ「認知症対策」として注目されているの?

窓辺で物思いにふける高齢の日本人女性。認知症への備えと家族信託の必要性を示すイメージ

最近、テレビや情報番組でも取り上げられることが増えてきた家族信託。その背景には、日本社会の高齢化と認知症リスクの高まりがあります。

認知症などで判断能力が低下すると、本人名義の預金口座が凍結されたり、不動産の売買ができなくなったりと、財産が「動かせない状態」になってしまいます。これを「資産凍結」といいます。

自宅を売却しようとしても、所有者が認知症であれば売買契約の締結が難しくなります。何も準備していなければ、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立て、裁判所の許可を得てはじめて売却できる手続きになります。しかも、裁判所の許可が必ずしも下りるとは限りません。

一方、家族信託を元気なうちに締結しておけば、たとえ親が認知症になったとしても、受託者である子どもが引き続き財産管理を行えます。自宅の売却も、信託契約の範囲内であればスムーズに進めることができるんですね。

家族信託のメリット・デメリット

家族信託は便利な制度ですが、すべての方に向いているわけではありません。メリットとデメリットをしっかり比較して、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。慎重に!

メリット

  • 認知症になった後も、家族が柔軟に財産を管理できる
    認知症後も、資産の売却・運用・管理を受託者が主導して行えます。資産凍結のリスクを大きく軽減できます。
  • 本人の意思を反映した財産承継が可能
    誰に、いつ、どのように財産を渡すか、あらかじめ契約に盛り込むことができます。
  • 成年後見制度より自由度が高い
    成年後見制度では裁判所の監督が必要で、財産の積極的な活用に制限が生じることがあります。家族信託はそうした制約が少なく、家族の判断でスピーディーに対応できます。
  • 2次相続(孫の代)への承継も設計できる
    「自分が亡くなった後は配偶者に、配偶者が亡くなった後は子どもに」というように、財産の受益者を複数の段階にわたって設定できます(受益者連続型信託)。
  • 共有不動産の管理問題を解消できる
    相続によって不動産が兄弟間の共有状態になると、全員の同意なしに売却や改修ができなくなります。家族信託を活用することで、管理権限を1人に集約することも可能です。

デメリット・注意点

  • すべての財産が対象になるわけではない
    年金受給権など一身専属的な権利は信託財産にできません。また、農地については農地法の規制により、個人を受託者とする信託は原則として難しく、農地転用を前提とした対応が必要になるケースがほとんどです。詳細は必ず専門家にご確認ください。
  • 税務申告が必要になる場合がある
    信託財産から利益が生じた場合、受益者が申告しなければならないケースがあります。税理士へのご相談も合わせておすすめします。
  • 専門家への依頼コストがかかる
    後述しますが、司法書士などの専門家に依頼する場合は相応の費用が発生します。
  • 身上監護(介護・医療の手配)はカバーできない
    家族信託は財産管理に関する制度です。入院の手続きや介護サービスの契約など、「体のこと」については成年後見制度と組み合わせる必要があります。
  • 信託口口座を開設できる金融機関が限られる
    信託専用の口座に対応している金融機関は、まだ限られています。契約前に確認が必要です。

成年後見制度との違いを比較

「成年後見制度ではダメなの?」というご質問もよくいただきます。いかがでしょう?それぞれの特徴を表で整理してみましょう。

比較項目家族信託成年後見制度(法定後見)
開始のタイミング元気なうちに自分で設計判断能力が低下してから申立て
手続きの主体家族間の契約で完結家庭裁判所への申立てが必要
財産管理の自由度高い(契約内容に基づく柔軟な運用が可能)低い(裁判所の監督下で保守的な管理が基本)
不動産の積極的な活用可能(売却・賃貸借など)原則、裁判所の許可が必要
身上監護(介護・医療の手配)対象外対応可能
コスト設計・契約時の費用(専門家報酬など)継続的な後見人報酬が発生
本人の意思の反映生前に細かく設計できる設計の自由度が低い

成年後見制度は、判断能力が低下した後でも利用できる点が大きなメリットです。一方、家族信託は「元気なうちに準備する」ことが前提である分、本人の意思をしっかり反映できるのが強みです。どちらが合っているかは、ご状況によって異なります。ぜひ専門家にご相談ください。

家族信託の活用事例

家族信託は認知症対策だけでなく、さまざまな場面で使われています。具体的なシーンを見てみましょう。

① 親の自宅を将来売却したいケース

老後の施設入居費用などを捻出するために自宅を売却する可能性があるご家族。親が元気なうちに家族信託を組んでおけば、認知症になった後でも子どもが売却手続きを進められます。「まさかそうなるとは…」と後悔する前に、準備しておくのが大切ですよね。

② 賃貸アパートを管理・運用するケース

賃貸物件を持つ親が高齢になった際、入居者対応や修繕対応などを子どもが代わりに行えるようにする活用法です。親が認知症になった後も、家賃収入の管理や大規模修繕の判断をスムーズに行えます。

③ 事業承継に活用するケース

中小企業のオーナーが、会社株式を後継者に信託することで、経営の安定継続を図る方法です。オーナーが意思決定できなくなっても、後継者が経営を続けられる体制を整えられます。

④ 障がいのある子どもへの生活支援

親亡き後も、障がいのある子どもが安定した生活を送れるよう、財産管理を兄弟などに引き継ぐ「親なき後問題」への対策として活用されるケースもあります。いいですね、こうした備えは早ければ早いほど安心です。

家族信託の手続きの流れ

家族信託を始めるには、いくつかのステップがあります。

ステップ内容
① 目的・内容の決定誰が委託者・受託者・受益者になるか、信託する財産は何かを決める
② 信託契約書の作成司法書士などの専門家と内容を確認しながら契約書を作成
③ 公正証書化公証役場で公正証書として作成(改ざん防止・証拠力の強化)
④ 信託口口座の開設信託財産専用の口座を金融機関で開設
⑤ 不動産の信託登記不動産が含まれる場合、法務局で登記手続きを実施

不動産の信託登記は手続きが複雑なため、司法書士への依頼が一般的です。費用は信託財産の規模や内容によって大きく異なります。目安として、信託財産が数千万円規模であれば30万〜100万円程度になるケースが多いようですが、それ以上の規模になると費用も変わってきます。詳しくはご相談時にご説明しますので、まずはお気軽にお声がけください。

なお、信託法・不動産登記法など関連法令は改正されることがあります。最新の情報は必ずご確認ください。

家族信託を新宿で相談するなら

「どこに相談すればいいかわからない」「近くに相談できる事務所はある?」そういったお声もよくいただきます。新宿エリアにお住まいの方、またはお勤め先が新宿近くの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

当事務所は新宿駅南口から徒歩7分とアクセスしやすい立地にあります。お仕事帰りや買い物のついでにもお立ち寄りいただけますよ。京王新線・都営大江戸線をご利用の方は、新宿駅6番出口から徒歩2分とさらに近い距離です。

まずはお気軽にご相談ください

家族信託についてご不安なことがあれば、どうぞ一人で抱え込まないでください。星総合法務事務所では、新宿・渋谷エリアを中心に、皆さまの大切な手続きを丁寧にサポートしています。

司法書士【星総合法務事務所】
📍 東京都渋谷区代々木2丁目20番2号 美和プラザ新宿501
📞 TEL:03-6709-2916
🚶‍♂️ 新宿駅南口から徒歩7分
🚶‍♂️ 京王新線・都営大江戸線 新宿駅6番出口から徒歩2分(6番出口を出てすぐです!)
🌐 https://hoshi-office.com/

よくある質問(FAQ)

Q1. 家族信託は認知症になってからでも契約できますか?

いいえ、できません。家族信託の契約には「意思能力」が必要です。認知症が進行し、判断能力が低下した後では契約の締結が難しくなります。元気なうちにご準備いただくことが非常に重要です。

Q2. 家族信託にかかる費用はどのくらいですか?

信託財産の規模や内容によって大きく異なります。目安として、信託財産が数千万円規模であれば30万〜100万円程度になるケースが多いようですが、財産の内容・種類・専門家の報酬体系によっても変わります。詳しくはご相談ください。

Q3. 家族信託と遺言書の違いは何ですか?

遺言書は亡くなった後の財産の行方を決めるものですが、家族信託は生きている間の財産管理から亡くなった後の承継まで一連の流れを設計できます。また、遺言書では実現できない孫への2次相続(受益者連続型信託)にも対応できます。

Q4. 信託できる財産に制限はありますか?

不動産・預貯金・株式・投資信託など多くの財産が対象になります。ただし、年金受給権など一身専属的な権利は信託財産にできません。また、農地については農地法の規制により個人を受託者とする信託は原則として難しく、農地転用を前提とした対応が必要になるケースがほとんどです。事前に専門家へご確認ください。

Q5. 家族信託の受託者(財産を管理する家族)に特別な資格は必要ですか?

特別な資格は不要ですが、受託者には財産管理に関する責任が生じます。信託財産の帳簿管理や受益者への報告義務も課されるため、信頼できる方を選ぶことが大切です。なお、信託法の規定により、未成年者(18歳未満)は受託者になれません。2022年4月の民法改正により成年年齢は18歳となっていますので、18歳以上の成人または法人が受託者となる必要があります。

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