事業承継M&Aとは?司法書士が株式譲渡・事業譲渡の違いをわかりやすく解説

事業承継M&Aの相談イメージ:新宿の司法書士事務所で握手をする日本人ビジネスパーソン

「会社を誰かに引き継いでもらいたいけれど、どの方法が自分の会社に合っているのかわからない…」そう感じていませんか?

事業承継の手段としてM&Aを検討し始めると、「株式譲渡」「事業譲渡」「会社分割」といった専門用語が次々と出てきて、頭が混乱してしまうことって、よくあるんですよね。

この記事では、新宿駅南口から徒歩7分の場所で、日々多くの事業承継のご相談をお受けしている星総合法務事務所のスタッフが、M&Aの方法をできるだけわかりやすく解説します。「どの手続きが自分に向いているのか」を判断するための基礎知識として、ぜひ最後までお読みください。

目次

M&Aとは?事業承継との関係をおさらいしよう

M&Aと事業承継の概念イメージ:組織図と書類が並ぶデスクの俯瞰写真

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、日本語では「合併と買収」を意味します。大企業同士の話というイメージを持つ方も多いのですが、実は中小企業や個人経営の会社でも、後継者問題を解決する手段として広く活用されています。

事業承継M&Aとは、経営者が引退・事業縮小・廃業を考える際に、会社や事業を第三者(他の会社や個人)に引き継いでもらう方法のひとつです。親族内承継や従業員への承継が難しい場合の現実的な選択肢として、近年ますます注目されています。

事業承継M&Aの方法は、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 株式譲渡:会社の株式をまるごと買収側に渡す方法
  • 事業譲渡:会社の特定の事業だけを切り離して売買する方法
  • 会社分割:会社の一部を分割して別会社や既存会社に承継する方法

それぞれの特徴・メリット・デメリットを、ひとつずつ見ていきましょう。

株式譲渡とは?手続きがシンプルな反面、リスクも引き継ぐ

株式譲渡のイメージ:書類と会社の印鑑が置かれたデスクで契約を交わす様子

株式譲渡の基本的な仕組み

株式譲渡とは、売り手(被買収会社)の株式を買い手(買収会社)に譲渡し、その対価として現金を受け取る方法です。株式を渡すだけで会社の経営権がそのまま移転するため、手続きがシンプルなのが最大の特徴です。

買い手は会社の「法人格」をそのまま引き継ぎます。つまり、その会社が持っている資産・負債・契約・許認可・従業員との雇用関係など、すべてをひとまとめで取得することになります。

株式譲渡のメリット

株式譲渡の最大のメリットは、手続きの簡便さです。基本的には株式の譲渡契約を締結し、株主名簿を書き換えるだけで会社の所有権が移転します。関係する契約や資産の名義変更を個別に行う必要がないため、スムーズに手続きを進めやすい方法です。

また、売り手にとっては、会社をまるごと売却することで資産を一括して現金化できるという点も魅力のひとつです。

株式譲渡のデメリット・注意点

一方で、買い手にとって注意が必要なのが「簿外債務(ぼがいさいむ)」の問題です。簿外債務とは、貸借対照表(バランスシート)に記載されていない隠れた負債のことです。株式譲渡では会社の権利義務をすべて引き継ぐため、もし簿外債務が後から発覚した場合、買い手がそのリスクをそのまま背負うことになります。

「手間がかからないはずのM&Aが、思わぬ負債で後悔につながった」というご相談、実際によくお聞きするんですよね。慎重に!デューデリジェンス(事前調査)をしっかり行うことが、株式譲渡では特に重要です。

事業譲渡とは?必要な部分だけを選んで引き継げる方法

事業譲渡の基本的な仕組み

事業譲渡とは、会社全体を売買するのではなく、会社が行っている特定の事業(ビジネス)だけを切り出して売買する方法です。株式譲渡と異なり、法人格は売り手のもとに残ります

たとえば、A社がレストラン事業と不動産管理事業の両方を営んでいる場合、「レストラン事業だけをB社に売る」といったことが可能です。

事業譲渡のメリット

事業譲渡の大きなメリットは、引き継ぐ資産・負債・契約などを個別に選択できる点です。株式譲渡のように「会社をまるごと」引き継ぐわけではないため、簿外債務や不要な負債を意図的に除外することができます。

「簿外債務が疑われる会社の事業を買いたい」「特定の事業部分だけが欲しい」という場合に、事業譲渡は非常に有効な手段です。また、小規模な企業や事業部門の買収にも多く活用されています。

事業譲渡のデメリット・注意点

一方、事業譲渡では引き継ぐ資産・負債・契約ごとに個別の手続きが必要になります。たとえば、不動産があれば所有権移転登記が必要ですし、取引先との契約も一件ずつ同意を取り直す必要があります。従業員を引き継ぐ場合も、個々の同意取得が必要になります。

そのため、事業の規模が大きくなるほど、手続きが非常に煩雑になりやすいのが難点です。このような場合には、次にご紹介する「会社分割」を検討する価値があります。

会社分割とは?事業譲渡の煩雑さを解消できる方法

会社分割の基本的な仕組み

会社分割とは、会社の一部の事業に関する権利義務を、包括的に別の会社(新設した会社や既存の会社)に承継させる方法です。「新設分割」と「吸収分割」の2種類があります。

事業譲渡と目的は似ていますが、会社分割の場合は権利義務が包括的に(まとめて)移転する点が大きな違いです。

会社分割のメリット

事業譲渡では取引先ごとに契約の同意を取り直す必要がありましたが、会社分割では契約相手方への個別同意は原則不要です。手続きの手間が大幅に軽減されます。

また、従業員の雇用契約についても、会社分割の場合は労働契約承継法に基づき、原則として包括的に承継されます。そのため、従業員ひとりひとりの個別同意を取る必要がない点も、事業譲渡と比べた際の大きなメリットのひとつです。

会社分割の注意点

ただし、賃貸借契約など一部の契約には「チェンジ・オブ・コントロール条項(COC条項)」が含まれていることがあります。この条項がある契約では、会社分割であっても契約相手方への通知・同意が必要になる場合があります。会社分割の手続きを進める前に、主要契約にCOC条項が含まれていないか、必ず事前に確認しておくことをお勧めします。慎重に!

事業譲渡と会社分割の使い分けポイント

当事務所では、事業譲渡の手続きが煩雑になりそうなケースでは、会社分割をお勧めする場合があります。どちらが適しているかは、事業の規模・承継する資産の内容・関係する契約の数などによって異なります。

いかがでしょう?「自分の会社にはどちらが向いているのか」、ひとりで判断するのは難しいですよね。そういったときこそ、専門家にご相談いただくのが一番です。

3つの方法を比較してみよう

3つの事業承継M&A手法の特徴を、一覧でまとめました。

比較項目株式譲渡事業譲渡会社分割
法人格の承継あり(会社ごと)なし(事業のみ)なし(事業のみ)
簿外債務のリスク高い(全部引き継ぐ)低い(選択できる)原則引き継がない
手続きの複雑さ比較的シンプル煩雑になりやすい中程度(包括承継)
許認可の引き継ぎ原則そのまま原則引き継がない原則引き継がない
契約相手方の同意不要(包括承継)個別に必要原則不要※COC条項除く
従業員同意不要(包括承継)個別に必要原則不要(労働契約承継法)
主な活用シーン会社ごと売買したい特定事業のみ売買煩雑な事業譲渡の代替
小規模企業への適性高い高い中程度

この表はあくまで一般的な傾向を示したものです。実際のケースでは、会社の状況や売買条件によって最適な方法が変わります。法令・税務上の取り扱いは改正されることもありますので、最新の情報は必ず専門家にご確認ください。

事業承継M&Aで司法書士ができること

「M&Aって弁護士に頼むものじゃないの?」と思う方も多いかもしれません。そうなんですね、確かにM&Aに関わる専門家は複数います。司法書士・弁護士・税理士・M&Aアドバイザーなど、それぞれ役割が異なります。

司法書士が特に力を発揮できる場面として、まずは登記に関する手続きが挙げられます。株式譲渡後の役員変更登記、会社分割に伴う登記申請など、法務局への各種登記手続きは司法書士の専門領域です。それに加えて、M&Aの方法や手順に関するご相談・ヒアリング、必要書類の作成・確認まで、一連の法務サポートが司法書士の強みです。

M&Aの全体的な交渉や紛争対応は弁護士の領域になりますが、登記を含む法務手続きのサポートとして、司法書士との連携は欠かせません。なお、140万円以下の民事紛争については、簡裁代理認定司法書士として対応できる場合があります。ご不明な点はお気軽にご相談ください。

「まずどこに相談すればいいかわからない」という方も、ぜひ一度当事務所にお声がけください。新宿駅南口から徒歩7分の場所で、丁寧にお話をお聞きします。

事業承継M&Aを検討する前に確認しておきたいこと

事業承継M&Aをスムーズに進めるためには、事前の準備が非常に重要です。いきいきと次のステージへ進むためにも、以下の点を事前に確認しておくといいですね。

  • 会社の財務状況の整理:貸借対照表・損益計算書などの財務諸表を最新の状態に整えておく
  • 簿外債務の有無の確認:保証債務・未払い残業代・訴訟リスクなどの潜在的な負債がないか確認する
  • 許認可・資格の確認:事業に必要な許認可が会社に紐づいているのか個人に紐づいているのかを確認する
  • 主要契約のCOC条項確認:重要な取引先・賃貸借契約などにチェンジ・オブ・コントロール条項がないか必ず確認する
  • 従業員への対応:承継後の雇用条件・処遇をどうするか事前に検討しておく

「準備不足のまま話を進めてしまって、交渉がうまくいかなかった」というケースは少なくありません。慎重に進めることが、成功への近道ですね。

まずはお気軽にご相談ください

事業承継M&Aの方法についてご不安なことがあれば、どうぞ一人で抱え込まないでください。星総合法務事務所では、新宿・渋谷エリアを中心に、皆さまの大切な手続きを丁寧にサポートしています。

司法書士【星総合法務事務所】
📍 東京都渋谷区代々木2丁目20番2号 美和プラザ新宿501
📞 TEL:03-6709-2916
🚶‍♂️ 新宿駅南口から徒歩7分
🚶‍♂️ 京王新線・都営大江戸線 新宿駅6番出口から徒歩2分(6番出口を出てすぐです!)
🌐 https://hoshi-office.com/

よくある質問(FAQ)

Q1. 株式譲渡と事業譲渡、どちらを選ぶべきですか?

会社をまるごと売買したい場合や手続きを簡素化したい場合は株式譲渡が、特定の事業だけを売買したい場合や簿外債務のリスクを避けたい場合は事業譲渡が向いています。ただし、どちらが最適かは会社の状況によって異なるため、専門家に相談のうえで判断することをお勧めします。

Q2. 事業承継M&Aで司法書士はどんな手続きを担当しますか?

相談・ヒアリングから始まり、必要書類の作成・確認、そして株式譲渡後の役員変更登記や会社分割に伴う登記申請まで、法務面での一連のサポートが司法書士の主な担当領域です。M&Aの交渉や紛争対応は弁護士との連携が必要になります。

Q3. 会社分割なら取引先との契約をそのまま引き継げますか?

会社分割では権利義務が包括的に承継されるため、契約相手方への個別同意は原則不要です。ただし、賃貸借契約などにチェンジ・オブ・コントロール条項(COC条項)が含まれている場合は、例外的に相手方への通知・同意が必要になることがあります。事前の契約内容確認が重要です。

Q4. 簿外債務が心配な場合、どうすればよいですか?

株式譲渡では簿外債務も含めてすべての権利義務を引き継ぐリスクがあるため、M&A前にデューデリジェンス(事前調査)を徹底することが重要です。簿外債務の存在が疑われる場合は、承継対象を選択できる事業譲渡や会社分割を検討するのが賢明です。

Q5. 小規模な会社でもM&Aによる事業承継はできますか?

はい、できます。後継者が見つからない小規模企業や個人事業主にとっても、M&Aは有効な事業承継の手段です。株式譲渡や事業譲渡は小規模企業でも比較的活用しやすい方法です。まずは専門家に現在の状況をご相談いただくことから始めてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次