民法改正で保証人が守られる?事業資金借入における個人保証の新ルールを解説

保証人を頼まれて、断れずにサインしてしまった経験はありませんか?あるいは、大切な家族や友人から「保証人になってほしい」と打ち明けられて、どう答えるべきか迷ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
事業資金の借入における個人保証は、場合によっては人生を大きく左右するほど重いものです。そうなんですね、保証人になるということは、借りた人が返せなくなったとき、自分が代わりに返済しなければならないということ。しかもその金額が、数百万、数千万に及ぶケースも少なくありません。
そんな保証人のリスクを軽減するために、民法が改正されました。この記事では、改正民法における事業資金借入の保証人保護ルールをわかりやすく解説するとともに、どんな場合に公正証書が必要になるのか、例外はどうなっているのか、そして見落とされがちな「主債務者の情報提供義務」についても丁寧にお伝えします。
改正民法で何が変わったの?保証人保護の基本ルール
そもそも「保証人」と「根保証」の違いとは
保証の仕組みを理解するうえで、まず「通常の保証」と「根保証」の違いを押さえておきましょう。
通常の保証とは、特定の1つの債務(例:100万円の借金)について保証するものです。一方、根保証とは、一定の範囲に属する不特定多数の債務を包括的に保証するもので、「〇〇との取引から生じる一切の債務を保証する」といった形で設定されます。
事業資金の融資においては、この根保証が広く使われています。しかし、根保証は保証の範囲が広く、保証人が気づかないうちに多額の債務を負うリスクがありました。まさにそこが問題視されていたんですね。
改正民法が定めた「公正証書による保証意思の確認」
2020年4月に施行された改正民法では、個人が事業性の保証人となる場合に、新たな手続きが義務付けられました。
具体的には、次の2種類の保証契約について、個人が保証人となるには、契約締結日の前1か月以内に作成された公正証書で、保証債務を履行する意思を表示していなければ、その保証契約は無効とされます。
- 事業のために負担した貸金等の債務を主たる債務とする保証契約
- 主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等の債務が含まれている根保証契約
つまり、「公証役場に行って、公証人の前で『私は保証人になることを理解し、その意思があります』と確認してもらわないと、保証契約自体が無効になりますよ」というルールです。慎重に!大事なポイントですので、しっかり確認してほしいところです。
公正証書が必要なのはなぜ?
公正証書の作成を義務付けた理由は、保証人になる意思を「本人が自発的に、きちんと理解した上で確認した」という証拠を残すためです。
以前は、「よくわからないままサインさせられた」「頼まれて断れなかった」という形で保証人になってしまうケースが多く、その結果、何年も後になって多額の債務を請求されるというトラブルが後を絶ちませんでした。
公証人という第三者が介在することで、「この人は本当に理解した上で保証人になることを選んだ」という事実を公的に記録に残せるわけです。いいですね!制度として保証人を守ろうという方向性は、とても大切だと思いませんか?
例外になるのはどんなケース?公正証書が不要な保証人
例外の対象者:事業に深く関わる人
公正証書の作成義務には、重要な例外規定があります(民法465条の9)。主たる債務者(お金を借りた人・会社)と一定の関係にある人が保証人となる場合は、公正証書の作成が不要とされています。
その理由は明確です。経営者や事業の共同運営者であれば、事業の実態や財務状況をすでに把握しており、保証リスクについても十分に理解できる立場にあるからです。そうなんですね、「知らずにサインさせられた」という状況には当てはまらない、ということです。
主たる債務者が「法人(会社)」の場合
法人(株式会社・合同会社など)が主たる債務者の場合、以下の立場にある個人が保証人となるケースでは、公正証書の作成が不要です。
| 立場 | 具体例 |
|---|---|
| 法人の理事・取締役・執行役 | 株式会社の取締役、合同会社の業務執行社員など |
| 総株主の議決権の過半数を有する者(いわゆる多数株主) | 議決権の50%超を保有するオーナーなど |
| 同条に準ずる者 | 実質的に法人の意思決定を支配している者など |
会社の代表取締役や議決権の過半数を持つオーナーが保証人になる場合は、公証人による意思確認の手続きは不要です。これが実務上、最もよく該当するケースですね。
主たる債務者が「個人事業主」の場合
個人事業主が借り入れをする場合、以下の方が保証人となるケースも公正証書の作成が不要です。
| 立場 | 具体例 |
|---|---|
| 主たる債務者と共同して事業を営む者 | 共同経営者・パートナー |
| 主たる債務者の事業に現に従事している配偶者 | 事業に実際に携わっている妻・夫 |
「事業に現に従事している配偶者」というのがポイントです。単に配偶者というだけでは例外には当たらず、その事業に実際に関与していることが条件になります。この点は勘違いされやすいので、慎重に確認が必要です。
図解:公正証書が「必要」か「不要」かの判断フロー
改正民法における公正証書の要否を整理すると、次のようになります。
| 保証人の立場 | 公正証書の要否 |
|---|---|
| 第三者(事業に無関係の個人) | 必要 |
| 法人の取締役・理事・執行役 | 不要 |
| 総株主の議決権の過半数を有する者 | 不要 |
| 同条に準ずる者 | 不要 |
| 個人事業主の共同事業者 | 不要 |
| 事業に現に従事している事業主の配偶者 | 不要 |
| 事業に関与していない配偶者・家族 | 必要 |
見落とされがちな重要ポイント:主債務者の「情報提供義務」
改正民法で新設された情報提供の義務
公正証書の作成義務と並んで、保証人保護のもう一つの柱として、改正民法では主債務者(お金を借りる側)の情報提供義務が新設されました。
事業資金の保証契約を締結するとき、主債務者は保証人になろうとする人に対して、以下の情報を契約前に提供する義務があります。
- 主債務者の財産・収支の状況
- 主債務者が負担している他の債務の有無・額・履行状況
- 主債務者が保証人に対して担保として提供しているものの有無・内容
これは非常に重要な規定です。保証人が「こんな借金があるとは知らなかった」「財産状況を偽られていた」という事態を防ぐための制度ですね。
情報提供義務違反があったときは保証契約を取り消せる
さらに重要なのは、主債務者がこの情報提供を怠った場合や虚偽の情報を伝えた場合、保証人は保証契約を取り消すことができるという規定です。ただし、取消しには「債権者(貸した側)がその事実を知っていたか、または知ることができた」という要件があります。
つまり、「借りる人に嘘をつかれて保証人にされてしまった」というケースで、貸した金融機関側もその事情を知っていたような場合は、保証人は契約を取り消せる可能性があるわけです。いかがでしょう?知っているのと知らないのとでは、大きな差がありますよね。
実務でよくあるケース:「どちらに当たるか」迷ったら
例外かどうか確信が持てないときは
いざ実務の場面になると、「この人は例外に当たるのかどうか」と判断に迷うことがあります。たとえば、役員ではないけれど実質的に経営に関わっている人や、名目上は社員だけれど出資もしているようなケースなどです。
こうした場合、例外に当たると判断して公正証書を作成しなかった結果、後々「保証契約が無効だった」という主張がなされるリスクがあります。そうなると、回収できると思っていた保証人への請求ができなくなるという深刻な事態に発展しかねません。そうなんですね、迷ったら公正証書を作成しておく、というのが最も安全な実務対応と言えます。
公正証書作成の流れとおおよその費用感
公正証書は公証役場で作成します。手続きの大まかな流れは以下のとおりです。
- 公証役場に事前相談・予約をする
- 必要書類(本人確認書類、保証契約の内容がわかる書類など)を準備する
- 公証人の前で保証意思の確認を受ける(本人が公証役場に出向くか、嘱託を受けた公証人が出向く)
- 公正証書を作成・交付してもらう
費用についてはケースによって異なりますが、公証人手数料令に基づいて保証債務の額に応じた手数料が必要となります。具体的な費用は事前に公証役場や担当の法律家にご確認いただくことをおすすめします。
保証人になる前に知っておきたい:「個人保証」のリスクと注意点
保証人になることの重さ
「保証人になってほしい」と頼まれたとき、断りにくいという気持ちはよくわかります。でも、その判断が後々どれほどの影響を及ぼすか、しっかり考えた上で決断してほしいと思うんですね。
保証人として負う責任は、主債務者が返済不能になったとき、その債務の全額を代わりに支払う義務です。事業資金の場合、数百万から数千万円以上になることも珍しくありません。
連帯保証人と通常の保証人の違い
実務では、「連帯保証人」として保証を求められるケースがほとんどです。通常の保証人と連帯保証人では、保護の内容が大きく異なります。
| 項目 | 通常の保証人 | 連帯保証人 |
|---|---|---|
| 催告の抗弁権 | あり(まず主債務者に請求しろと言える) | なし |
| 検索の抗弁権 | あり(主債務者の財産から先に取り立てるよう求められる) | なし |
| 分別の利益 | あり(複数保証人で分割できる) | なし |
連帯保証人には、通常の保証人が持つ「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」がありません。つまり、主債務者が返済できなくなった途端に、いきなり全額を請求されることになります。この違い、非常に大きいと思いませんか?
保証人になってしまったら相談を
すでに保証人になっており、主債務者の返済が滞っているという状況にある方も、一人で抱え込まないでいただきたいです。保証債務の整理には、債務整理や任意交渉など、状況に応じたさまざまな手段があります。
新宿の星総合法務事務所では、保証問題についてのご相談も承っています。新宿駅南口から徒歩7分という立地で、お仕事帰りや外出のついでにお立ち寄りいただける事務所です。
法改正は今後も続く可能性があります
民法をはじめとする法律は、社会情勢や実務の課題に応じて改正が続けられています。今回ご紹介した保証に関するルールについても、今後さらに見直しが行われる可能性は十分にあります。
「以前こういう話を聞いた」という情報が現在も有効かどうか、常に最新の情報を確認することをおすすめします。特に保証契約のような重要な法律行為については、契約前に専門家へのご相談を強くおすすめします。慎重に、丁寧に。それが大切です。
まずはお気軽にご相談ください
事業資金の保証人問題についてご不安なことがあれば、どうぞ一人で抱え込まないでください。星総合法務事務所では、新宿・渋谷エリアを中心に、皆さまの大切な手続きを丁寧にサポートしています。
司法書士【星総合法務事務所】
📍 東京都渋谷区代々木2丁目20番2号 美和プラザ新宿501
📞 TEL:03-6709-2916
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よくある質問(FAQ)
Q1. 事業資金の保証人になるとき、必ず公正証書が必要ですか?
個人が事業資金の保証人(または根保証人)になる場合、原則として契約締結日の前1か月以内に作成された公正証書による保証意思の確認が必要です。ただし、法人の取締役・理事・執行役・総株主の議決権の過半数を有する者、個人事業主の共同事業者・事業に現に従事している配偶者が保証人になるケースは例外として公正証書の作成が不要とされています(民法465条の9)。
Q2. 会社の代表取締役が保証人になる場合も公正証書が必要ですか?
いいえ、不要です。法人の取締役は改正民法465条の9の例外規定に該当するため、公証人による保証意思の確認手続きは必要ありません。第三者(事業に関係のない個人)が保証人になる場合に公正証書が必要となります。
Q3. 公正証書なしで結ばれた事業保証契約はどうなりますか?
公正証書の作成が義務付けられているにもかかわらず、それを欠いた保証契約は無効となります。つまり、保証人としての責任を負わなくてよいということです。ただし、例外規定に当たる場合など、状況によって判断が異なる場合もあります。詳細は専門家にご相談ください。
Q4. 「事業に現に従事している配偶者」とはどういう意味ですか?
単に配偶者というだけでは例外に当たりません。個人事業主の事業に実際に関与・従事していることが条件です。経理を担当している、店舗で販売業務をしているなど、具体的な業務への参加が必要とされています。名目上だけでは例外とは認められない可能性がありますので、慎重に判断することをおすすめします。
Q5. 保証人になってしまい、返済請求を受けています。どうすればいいですか?
まず、保証契約の内容・有効性を確認することが重要です。公正証書が適切に作成されていたか、主債務者から正確な情報提供を受けていたか、例外規定の有無なども含めて検討が必要です。また、保証債務の整理には任意交渉・個人再生・自己破産など複数の選択肢があります。一人で抱え込まず、司法書士や弁護士などの専門家に相談することを強くおすすめします。新宿の星総合法務事務所でも、保証問題についてのご相談を承っています。