遺言書を書く前に準備しておきたいこと|新宿駅南口の司法書士が解説

「そろそろ遺言書を書いておいた方がいいのかな…」そう思いながらも、何から手をつければいいのか分からず後回しにしてしまう。そんな方、実は少なくありません。
いざ書こうとしても、財産の全体像が見えていないと、遺言書はうまく仕上がらないものです。むしろ、遺言書を書く「前」の準備こそが一番大切だったりします。
この記事では、遺言書作成の前に整理しておきたい財産の考え方や、相続放棄の期限、死亡保険金の扱いなど、相談の中でよく出てくる疑問をまとめました。読み終える頃には、何から始めればいいかがきっと見えてくると思います。
遺言書を書く前にまずやるべきこと
遺言書は、自分が亡くなったあと、財産を誰にどう渡すのかを明らかにするための大切な手段です。ただ、いきなり文面を考え始めるのではなく、まずは自分の財産をひとつずつ棚卸しすることから始めるのがおすすめですね。
財産目録という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、これは「自分がどんな財産を持っているか」を一覧にしたものです。相続人になる家族が困らないよう、生前にこれを作っておくと、遺言書の内容もぐっと具体的になります。
いかがでしょう、ご自身の財産を全部書き出せる自信はありますか?実際にやってみると、意外と忘れている財産があったりするものです。
プラスの財産とマイナスの財産、両方を洗い出す
財産には「プラスの財産」と「マイナスの財産」があります。この2つをきちんと分けて考えることが、遺言書作成の土台になります。
| 財産の種類 | 具体例 |
|---|---|
| プラスの財産 | 預貯金、不動産、有価証券、貴金属、自動車など |
| マイナスの財産 | 住宅ローンなどの借入金、未払いの医療費、未払いの税金など |
相続では、プラスの財産だけを受け取って、マイナスの財産を受け取らないということは、原則としてできません。相続人は良いものだけをつまみ食いする、というわけにはいかないんですね。
相談の中で「亡くなった親に借金なんてないと思っていたのに、あとから多額の借金が判明した」というケースを見てきました。プラスの財産を先に受け取ってしまった後にマイナスの財産が発覚すると、対応がかなり難しくなってしまいます。だからこそ、生前にプラスとマイナスの財産をどちらも明らかにしておくことが本当に大切だと感じます。
相続放棄という選択肢と3か月の期限
マイナスの財産がプラスの財産を上回っている場合には、「相続放棄」という選択肢があります。相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産も、すべて受け取らないことになります。
ここで注意していただきたいのが期限です。相続放棄ができる期間は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」と民法915条1項で定められています。これを「熟慮期間」と呼びます。
うっかりこの期間を過ぎてしまうと、民法921条2号により、原則として単純承認(すべての財産を相続する)とみなされてしまいます。3か月というのは意外と短く感じる方も多いので、慎重に!財産の調査に時間がかかりそうな場合には、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てることもできますので、早めに専門家に相談していただくのが安心ですね。
なお、「被相続人には借金など全く無いと信じていた」というような事情があり、そう信じることに相当な理由があったと認められる場合には、熟慮期間の起算点が繰り下げられる例外を認めた判例もあります(最高裁昭和59年4月27日判決)。3か月が過ぎてしまったからといって必ずしも諦めなければならないわけではありませんので、そうしたケースに心当たりがある方は、まず専門家にご相談いただくことをおすすめします。
相続放棄に関する基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申立先 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 期限 | 相続の開始を知った時から原則3か月以内(民法915条1項) |
| 必要な費用の目安 | 収入印紙800円分(相続人1人につき)+連絡用の郵便切手が目安とされていますが、家庭裁判所により運用が異なる場合がありますので事前にご確認ください |
| 期限が過ぎた場合 | 原則として単純承認とみなされる(民法921条2号)。ただし判例上、例外的に起算点がずれる場合もあります |
費用や必要書類は個々のケースによって異なりますので、目安として捉えていただき、正確な情報は事前にご確認いただくことをおすすめします。法改正や運用の見直しが行われることもあるため、手続きの際は最新情報を必ずご確認くださいね。
死亡保険金は相続財産に含まれるのか
遺言書を書く準備をしていると、「死亡保険金も相続財産に入るのでは?」と疑問に思う方が本当に多いです。これ、相談の中でもよくある「あるある」な誤解のひとつなんですね。
亡くなった方が自分で保険料を支払っていた死亡保険金は、受取人として指定された方が受け取るものであり、民法上の相続財産には含まれません。これは「みなし相続財産」と呼ばれる考え方です。
そのため、死亡保険金の受取人に相続人の一人が指定されている場合、原則としてその方が全額を受け取ることになり、他の相続人からの遺留分侵害額請求の対象にもなりません。ただし、次の点には注意が必要です。
- 相続税法上は、一定の非課税枠を超える部分については相続税の対象になることがあります
- 非課税枠は「500万円×法定相続人の数」が目安とされています。
- 受取人の指定がない場合や、指定に問題がある場合には取り扱いが変わることもあります
「保険金は別枠だから安心」と思い込んでいる方もいらっしゃいますが、税務上の扱いはケースによって異なりますので、慎重に確認しておくと安心ですね。相続税に関する具体的な計算は、税理士との連携が必要になる場面も多いです。
財産目録作成でよくある失敗パターン
これまで数多くのご相談を受けてきた中で、財産目録づくりでつまずきやすいポイントがいくつか見えてきました。文章で説明すると、次のような傾向があります。
まず多いのが、不動産の評価額を実際より高く、あるいは低く見積もってしまうケースです。固定資産税の通知書だけを見て判断してしまい、実際の相続税評価額とズレが生じることがあります。次に、ネット銀行やネット証券など、紙の通知が届かない資産を見落としてしまうパターンも増えています。ご家族が把握しづらい財産ですので、リスト化を忘れずにしておきたいところです。
そして意外と多いのが、負債の把握漏れです。奨学金の連帯保証人になっていた、知人の借金の保証人になっていたなど、本人以外の情報が家族に共有されていないケースを見ると、やはり早めの整理が必要だと感じますね。「まさかこんなところに借金が」と思ったことはありませんか?
遺言書の種類と特徴
財産の整理ができたら、次は遺言書の形式を考える段階に入ります。遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
| 種類 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 自分で全文(財産目録以外)を手書きする形式。法務局での保管制度も利用可能 | 費用を抑えたい方、まずは自分で作成したい方 |
| 公正証書遺言 | 公証人が作成に関与し、原本を公証役場で保管する形式 | 確実性を重視したい方、内容が複雑な方 |
| 秘密証書遺言 | 内容を非公開にしたまま存在のみを証明する形式 | 内容を誰にも知られたくない方 |
どの形式が向いているかは、財産の内容やご家族の状況によって変わってきます。一概に「これが一番良い」とは言い切れない部分もありますので、ご自身の状況に合わせて選んでいただくのが良いと思います。
司法書士に相談できることの範囲
ここで一点、大切なことをお伝えしておきます。司法書士は、相続・遺言に関するご相談やお手続きのサポートを行うことができますが、業務には一定の範囲があります。
法務大臣の認定を受けた「簡裁代理認定司法書士」であれば、訴訟の目的となる価額が140万円を超えない民事事件について、簡易裁判所における訴訟・和解・調停等の代理業務を行うことができるとされています。相続に関するご相談でも、この範囲内であれば司法書士が代理人として対応可能な場合があります。
一方で、争いの対象となる価額が140万円を超える事案や、地方裁判所での訴訟対応が必要となるケースについては、弁護士の業務範囲となります。星総合法務事務所は、簡裁代理認定司法書士(第101248号)として登録しておりますので、140万円以下の事案についてはこうした範囲でのご相談にも対応可能です。ただ、事案の内容によって対応できる範囲が変わってきますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。
遺言書作成前のチェックリスト
最後に、遺言書を書く前に確認しておきたいポイントを整理しました。
- プラスの財産(預貯金・不動産・有価証券・貴金属など)を洗い出したか
- マイナスの財産(借入金・未払いの医療費・税金など)を洗い出したか
- 死亡保険金の受取人指定の内容を確認したか
- 遺言書の形式(自筆証書・公正証書・秘密証書)をどうするか検討したか
- 相続人になる可能性がある家族の状況を把握したか
一つひとつ丁寧に確認していけば、決して難しい作業ではありません。焦らず、ご自身のペースで進めていただければと思います。
まずはお気軽にご相談ください
遺言書についてご不安なことがあれば、どうぞ一人で抱え込まないでください。星総合法務事務所では、新宿・渋谷エリアを中心に、皆さまの大切な手続きを丁寧にサポートしています。
司法書士【星総合法務事務所】
📍 東京都渋谷区代々木2丁目20番2号 美和プラザ新宿501
📞 TEL:03-6709-2916
🚶♂️ 新宿駅南口から徒歩7分
🚶♂️ 京王新線・都営大江戸線 新宿駅6番出口から徒歩2分(6番出口を出てすぐです!)
🌐 https://hoshi-office.com/
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よくある質問(FAQ)
Q1. 遺言書は財産が少ない場合でも作った方がいいですか?
財産の額に関わらず、遺言書は作成しておくメリットがあります。財産が少ないケースほど、相続人同士の話し合いがまとまりにくく揉め事に発展することもありますので、早めに準備しておくと安心ですね。
Q2. 相続放棄をすると、マイナスの財産だけを放棄することはできますか?
いいえ、相続放棄はプラスとマイナスの財産をまとめて放棄する制度です。良い財産だけを残して悪い財産だけを放棄する、という選択はできません。
Q3. 死亡保険金には相続税がかからないのですか?
死亡保険金は民法上の相続財産には含まれませんが、相続税法上は一定の非課税枠(目安として「500万円×法定相続人の数」)を超える部分について相続税の対象になることがあります。正確な計算はケースにより異なりますので、税理士への確認をおすすめします。
Q4. 相続放棄の期限である3か月を過ぎてしまったらどうなりますか?
原則として単純承認をしたとみなされ、マイナスの財産も含めてすべて相続することになります。ただし、被相続人に財産が全く無いと信じたことに相当な理由があったと認められるような場合には、例外的に期限の起算点がずれると判断された判例もありますので、早めにご相談いただくのが良いと思います。
Q5. 司法書士と弁護士、相続の相談はどちらにすればいいですか?
争いの対象となる価額が140万円以下で、簡易裁判所での対応が想定される場合は、簡裁代理認定司法書士でも代理業務が可能です。140万円を超える事案や地方裁判所での訴訟が必要な場合は弁護士との連携が必要になりますので、まずは司法書士にご相談いただき、状況に応じて案内してもらうのも一つの方法ですね。