おひとりさまの死後事務委任

遺言書や成年後見制度は、生前対策として活用することで存命中のさまざまな不安

に対処することができます。

しかし、死後の手続きは親族が行うことを前提に法律が作られているため、死後の

事務を親族以外の人に依頼する場合には死後事務委任契約を結んでおくべきです。

遺言書は、遺産の処分など法律で定められた事項について法的な拘束力を持ちます

が、法定事項以外のことについては、例えば、遺言書に葬儀や埋葬について故人の

意思が示されていても親族の意向が強く働くことになれば、遺言通りに進めること

が難しくなります。

あなたが、おひとりさまであれば、死後の事務まで済ませておくことはかなり難し

いのではないでしょうか。

葬儀のことなど遺言書だけでは不十分な故人の意思を実現する方法が死後事務委任

の活用です。

あなたが亡くなったあと、葬儀の手配や埋葬、死亡届等手続きを済ませる人が必要

ですし、自宅の遺品整理や携帯電話の解約、公共料金の支払い停止などの手続きも

必要になります。

死後事務の手続きには、他にも病院などの医療施設の退院・退所手続きと精算事務

、永代供養に関する事務、自宅の賃借料の支払い・解約、健康保険、納税等の手続

、クレジットカードの解約などやるべきことがたくさんあります。

これらは、死後事務委任の活用で手続きは可能です。

なお、死後事務委任契約は、専門家に委任した場合、報酬とは別に手続等にかかる

費用も委任者の自己負担になります。例えば、葬儀の手配を委任する場合、受任者

への報酬とは別に葬儀費用を含めて用意しておく必要があります。

そのため、元気な今のうちに、死後の手間を減らすために不用品の処分や預金口座

を一つか二つにまとめたり、クレジットカードを1枚に絞るなどご自身の死後に備

えるための行動をできることから始めることをお勧めします。

 

 

 

成年後見制度とは

現在、65歳以上のおよそ16%、80代後半ではおよそ40%が認知症であるといわれ

ています。

認知症を患い判断能力が低下してしまうと契約などの法律行為ができなくなりますので、

法律上、銀行から預金を引き出したり施設に入居するための契約を締結することができ

なくなります。

そこで、判断能力の低下した人を保護するための制度が成年後見制度です。

この成年後見制度は、法定後見と任意後見の大きく二つに分けることができます。

現在、すでにご本人の判断能力が低下してしまっているという状態にあるとき、本人、

四親等内の親族などが家庭裁判所に申し立て、後見人等を選定してもらうのが法定

後見です。

これに対し、任意後見は、将来、認知症などの理由で判断能力が失われてしまったときに

備えて、あらかじめ、自分の財産管理や身上監護を担ってくれる人と契約しておく制度

です。判断能力が衰える前に後見人を選んで契約しておくという点が法定後見との違い

となります。

この後見人を自由に選べる点が任意後見のメリットの一つです。

任意後見契約書は、公正証書により作成することが法律上義務付けられています。

また、効力の発行は、本人の判断能力が低下した段階で、本人や四親等内の親族又は任意

後見受任者の請求によって、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人は、任意後見人が契約の内容に従って財産管理等を行っているかを監督する

役割を担います。もし任意後見人に不正があった場合は、家庭裁判所に任意後見人の解任を

申し立てることができます。

 

特に頼れる親族がいない人の場合、お元気なうちに信頼できる人と任意後見契約を結んで

おけば認知症などで判断能力が衰えてしまっても任意後見人が暮らしを支えるお手伝いが

できるので安心です。