契約を更新する際に更新料は支払わないといけないのか?

 相談者は、居住用賃貸マンションの借主の方。賃貸借契約書には、契約を更新する際に更新料として月額賃料の1か月分を支払わねばならないと書かれています。しかし、最近になって更新料を支払う特約を無効とする裁判があるようです。今まで支払った更新料は返してもらえるのでしょうか。?
 更新料の特約は、消費者契約法により無効と判断される可能性はあると思われます。無効と判断された場合は、支払済みの更新料は返還請求できることになります。

 更新料は、賃貸借契約において、契約更新時に賃借人から賃貸人に対して支払われるお金です。この更新料は、関東や京都など一部地域で用いられているものの、全国的にみると必ずしも一般的に行われているわけではないようです。

従前の裁判例では、更新料特約は原則として有効であり、特段の事情がない限り無効とされることはありませんでした。

しかし、平成13年4月1日の消費者契約法施行後、昨年頃から更新料特約は同法によって無効であると判断する高裁判例が現れ、結果この特約によって支払われた更新料は借主に返還すべきとされました。

ところが同じ高裁で、更新料を有効とする裁判例も現れました。このため更新料の有効性の問題は、最高裁判所の判断を待つことになりましたが、2011年7月、最高裁は「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、・・・消費者の利益を一方的に害するものに当たらない」としました。つまり、契約書に明記してあれば消費者はわかって契約しているはずであり、信義誠実の原則に反しないのが原則というわけです。

したがって、最高裁は、どんな場合も更新料は有効と言っているわけではありませんが、無効とされるには特段の事情を要することになり従来の判例の考え方を踏襲した判断となっています。