借金からの救済法

支払困難な状況にある人が借金を整理するための方法には、破産、個人再生、任意整理

、特定調停の手続が考えられます。

支払困難な状況にも無収入やそれに近い状況の場合、継続収入があり一定額なら返済が

可能な状況の場合があります。

無収入や一定額の返済が可能な場合であっても用意できる返済金に比べ借金額が大きく

支払不能とみなされれば、破産を検討することになるでしょう。

個人再生は、返済総額を減額できる手続ですが、破産と同様に裁判所が関与する手続の

ため、申立て書類の作成等の準備が必要です。そして、申立後は、法律に従った処理が

なされます。

任意整理や特定調停は、各債権者との個別和解のため、破産や個人再生と違い、比較的

簡便で弾力的な処理をすることができます。

ただし、個別和解で無利息にはできますが、個人再生のように返済総額の減額を当然に

要求できるわけではありません。

債務整理は、どの手続を選択することが本人にとって最も有益なものとなるのかという

観点から相談者一人一人の具体的な事情を検討する必要があります。

まずは、一人で悩まず、お気軽にお問い合わせください。

 

債務整理の方針を決める

債権調査の結果を踏まえ、依頼者と協議のうえ債務整理の方針を決定します。

方針を決定する際の一般的な基準は、債務者が分割により支払を継続し、債務を完済できる

見込みがあれば「任意整理」または「特定調停」、分割の支払でも支払不能となるおそれの

ある場合には「個人民事再生」、支払不能であれば「破産」です。

この場合の「支払不能」とは、判例によれば、債務者が一般に金銭の支払をすることができ

ない客観的な状態をいい、弁済力の有無は財産・信用・労務の三つを総合的に判断する必要

があり、さらに一時的な延滞ではなく債務を弁済できない状態が継続的である状態をさす、

としています。つまり、財産が無くとも信用や労務によって支払可能な場合は支払不能とは

言えませんし、反対に財産があっても換価が困難で信用や労務による弁済も不可能の場合は

支払不能となりえます。

支払不能か否かは、負債額による基準はなく、債務者の収入、家計状況等により個別に判断

することになります。そのため、生活保護を受けている場合や収入が低いなど債務者の事情

により負債総額が100万円以下であっても破産が認められることがあります。

また、債権調査の結果、破産又は個人民事再生が妥当する場合であっても債務者の多くは、

できれば返済の努力をしたいと希望します。

しかし、債務者は、多くの場合、家計状況等を精査すると返済する余裕はなく、借金の返済

が無くなって辛うじて収入内での生活が可能な状況になっています。

借金が増え、毎月の家計収支がマイナスの状態は債務整理で改善できるかもしれません。

 

信用情報について

信用情報機関は、貸付に関する情報やクレジットカードを利用した取引の内容などの

個人情報を収集し、加盟している貸金業者や信販会社などの与信判断等の参考となる

情報を加盟各社に提供している機関です。

現在、信用情報機関は、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・

シー、全国銀行個人情報センターがあります。

これらの信用情報機関が収集し、管理している情報には、各情報機関が独自に収集した

情報、加盟する貸金業者等からの情報、本人からの申告に基づく情報、貸金業法に規定

されている情報等がありますが、延滞情報や破産などの事故情報が登録されることを

俗に「ブラックになる」あるいは「ブラックリストに載る」という言い方をしますが、

事故情報のみを収集したリストというものは存在しません。

情報の登録期間は、登録事項や情報機関によって違いがありますが、5年が一つの

目安になります。

日本信用情報機構(JICC)では、債務整理や破産申立等の登録期間を契約終了後5年

以内としていますが全国銀行個人信用情報センターでは、官報公告された破産・民事

再生手続きについて開始決定等の日から10年を超えない期間としていますので借入先

の加盟する信用情報機関により違いがあります。

通常、事故情報が登録されている間は、新たにクレジットカードを作ったり融資を

受けることが困難になります。なお、破産者等を対象に融資の勧誘をする悪質な業者

が存在しますので注意が必要です。

 

 

債務整理の相談はお早めに

債務整理には、任意整理、民事再生、破産、特定調停、過払い金返還請求等の手続きがあり

ますが、これらの方法の中から、相談者に最も適切な方針を選択し、手続きを履行していく

必要があります。

債務整理の相談では、相談者の負債状況、収入の見込み、資産状況、今後の希望などを詳し

く伺ったうえで、どのような手続きが可能か、その手続きを履行する場合のメリットとデメ

リットなどをアドバイスします。

相談の際は、借入に関する契約書や取引明細、貸金業者等から受け取ったカードや書類

一切、給与明細や不動産登記事項証明書など資産と負債状況の概要がわかる書類を用意

いただくと面談がスムーズです。

面談の際は、多額の債務を負うことになった経緯、収入と財産の状況、家計状況、援助者の

有無などを確認させていただきますのである程度債務整理の方針を決められますが、最終的

には、受任後、債権調査を経てから決定します。

なお、受任により債権者からの催促の連絡等は無くなりますので、仕事に集中できるように

なり、家計状況の改善など借金問題解決に安心して取り組めるようになります。

借金問題は、一人で悩まずお早めにご相談ください。

 

民法改正による事業資金借入の保証人保護

改正された民法では、「事業のために負担した貸金等の債務を主たる債務とする保証契約」

又は「主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等の債務が含まれている根保証契約」

について、個人が保証人になる場合、その個人が契約締結日前1か月以内に作成された公正

証書で保証債務を履行する意思を表示していなければその保証契約は無効とされました。

ただし、この規定の例外として、主たる債務者が法人の場合は、その法人の理事、取締役、

執行役、法人の支配株主、これらに準ずる者①

主たる債務者が個人事業主の場合は、主たる債務者の共同事業者や主たる債務者の事業に

現に従事している主たる債務者の配偶者②

①②の者が保証人となる場合は、公正証書の作成を不要とされています。

つまり、会社の代表者を保証人にとる場合は、公証人による保証意思の確認手続きは不要

ということになります。事業に関係ない第三者を保証人にする場合にこの手続きが必要と

いうことです。

実務上は、経営者やそれに準じる者以外の者を保証人とする場合に該当するか、それとも

例外に該当するか確信が持てない場合は、公正証書を作成しておくのが最も安全な対応と

言えそうです。

 

債務整理の相談について

債務整理の相談者の中には、取り立ての厳しいヤミ金や消費者金融等だけを申告
して相談されるケースがあります。
債務整理は、債務者が抱えているすべての債務を把握したうえで債務整理の方針
を決定するために銀行等の住宅ローンやクレジット会社からの借入や商品購入、
友人等からの借入、生命保険の契約者貸付、家賃の滞納、税金や社会保険の滞納
、保証人や担保の有無などすべてを明らかにしてもらう必要があります。
負債の一部を秘密にしたままでは債務整理に悪影響を及ぼします。
当職を信頼し隠さずに相談してください。
一緒に最善の方法を考えましょう。

差押え

差押えには、大まかに「借金」が原因の場合と「税金」が原因の場合があります。
刑事手続き上の差押えもありますがここでは触れません。

借金が原因の場合は、債務者の財産(不動産や銀行預金、給与、売掛金など)を差押える
には確定判決や和解調書等の債務名義が必要です。

これに対し、税金の場合は、「督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに
完納しないとき」に有無を言わさず差押えが可能です。

事業主の方から、債務整理の相談の際に税金の滞納を放置したために売掛金を差し押さえ
され借金の返済が困難になったというお話を聞くことがあります。

事業を継続するためには、税金の滞納を放置せず、話し合いで分納にするなど貸金業者や
金融機関への返済よりも納税の義務を優先しましょう。

生活資金が足りない

生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯や障害者世帯、高齢者世帯などに対し、必要な

生活資金を貸付ける制度です。

この制度は、諸事情により金融機関や他の公的制度等を利用して借入ができない場合

に利用することができます。

借入は、住居地の自治体の社会福祉協議会または民生委員に相談のうえ、必要書類を

添えて借入申込書を提出します。審査後、貸付の可否が通知されます。

なお、生活資金不足の原因がカードローンや消費者金融等の借金返済にある場合は、

この制度の利用よりも債務整理を検討すべきです。